運転が上手な人が自然な感覚で
ハンドリングするアクティブレーンキープ
最近のハイグレード車には、高速道路などで車線を逸脱すると警告したり、車線中央にクルマを戻す車線逸脱防止支援システムが付いている。技術的にはかなり自動運転に近いところまでイケるらしいが、国土交通省の通達で時速65km以上のみ動作、カーブ半径が1000m(R=1000)未満のカーブでハンドルから手を離したら機能させないなどの指針があるため、どのメーカーもスペック的には似たり寄ったりの状態だ。
しかし、乗り心地や挙動は大きく異なる。EyeSightは衝突回避システムと同じステレオカメラを用いて車線を認識している。つまり車線認識は1989年から蓄積された多くの技術やパターンから、カーブなどの奥行きも認識できるシステムだ。一方それ以外では、モノカメラで車線を捉えているので奥行きを認識できない。
この2つを決定づける挙動の違いは、車線中央での安定性だ。以前に試乗した他社の車線逸脱防止支援システムは、確かに車線の中央付近を走るのだが、右に左にフラフラと揺れながら中央を試行錯誤する感があるのだ。居眠り運転のようなフラつきではなく、補正したときに横Gを感じるわけでもないが、心もとない運転だ。たとえるなら、クルマのすぐ前方ばかり見て運転する初心者ドライバー。
対するEyeSightは、ピタッ!と一発で車線中央にクルマを落ち着かせる。たとえるなら運転の上手なドライバーが遠くを見ながら走る感覚だ。
運転技術が並レベルのアナタより
とにかく運転が上手なEyeSight
衝突回避ブレーキにしても、アクティブレーンキープにしても、運転がうまいといわれるドライバーに近いことをやってのけるEyeSight。先行車を追従するオートクルーズを使えば、その運転のうまさが分かるはずだ。
一般的なオートクルーズだと、ヘッドレストから頭を離して乗っていると、加減速の際に頭が前後に振られる。人間でもアクセルワークの荒い人の運転だとこうなる(笑)。しかし、EyeSightのオートクルーズは、ヘッドレストから離した頭が振られることがない。これにはビックリだ。
しかも今回乗ったLEVORGは、微妙なアクセルワークが求められるCVT(オートマチック変速のひとつで、ロスは多いが運転しやすいオイルではなく、ロスの少ないベルトと遠心力による変速機)だ。しかもターボ車なので、クルマのクセを知り尽くしていないと、高速をすべるように走らせるのは難しい。
EyeSightが加速を指示すると、アクセルを少しずつ空けていき、目的の速度近くになると徐々にアクセルを緩める。先行車との間に割り込んだクルマがあれば、アクセルを緩めて車間を取るが、もし急に入り込んできた車があれば緩やかだが確実に制動するように「ギュッ」とブレーキを踏む。まぁ、とにかく運転がうまいのだ。
開発コンセプトにも「運転が上手と呼ばれる人の乗り心地を追求する」という目的があったようだ。エンジニアの岩瀬 勉氏によれば「たとえば加速する場合には、あと何馬力のパワーが必要か? というデータから、アクセルの開度などのさまざまなパラメータが計算できます。その結果を元に運転の上手な人に近い操作をするので、安全以上に、安心してシートに身を任せられるのです」という。
もし試乗するチャンスがあれば、2.0リッター車がオススメ。1.6リッターモデルはターボエンジンだが、NAのような癖のない加速をするので乗りこなしは簡単。かたや2.0リッターはターボの加速がドン!と来るので、自分とEyeSightのアクセルワークの違いが明らかになる。言うまでもないが、初めて試乗したときは、EyeSightの方が自分よりアクセルワークがうまくてショげること間違いない。そんぐらい運転がうまいのだ。
ASCII.jp読者なら「EyeSight ver.3だから」
という理由で買うのもアリ
自動車関係のWebや専門誌に比べると、若干読者層が違うのがASCII.jp読者。本来ならスバルの新しいスポーツツーリングワゴンをエンジンやらサスペンション、運転性能や乗り心地でオススメしたいところだが、あえて言おう!
「最新のEyeSight ver.3が全グレード標準搭載のLEVORGを買え!」
と。素直で運転しやすくリーズナブルの1.6リッターモデルも楽しいけど、2.0リッターで箱根の山を走った安定性やコーナリング、カーブ出口でアクセルを開けたときのターボ感とか、超たまんねーっすよ。アンダー出る気がしないほど、超安定した走り!(もちろん法定速度で走ったよ♪)
乗ったらわかるスバル車の良さ、乗らないとわからないスバル車の良さが顕著に出るLEVORG。まあ、乗ったら信者になっちゃうスバル車も実体験できるかと(笑)。