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スバル「インプレッサ」プロトタイプに試乗! もはや別次元の走り!

2016年09月25日 12時00分更新

文● 山本晋也 車両協力●SUBARU

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新型インプレッサは根幹から新しい
「愛でつくるクルマ」

 2016年秋にスバルが新型インプレッサを発売するというアナウンスは、もう随分前からあった。国内での発表が始まったのは「スバルグローバルプラットフォーム(SGP)」と呼ばれる、新世代の車台を発表した2016年3月までさかのぼる。その後、7月には5代目となるインプレッサ・プロトタイプのお披露目を行ない、9月からは予約も開始された。その間に富士重工業という社名を、2017年4月より「SUBARU」に改名するという発表もあった。今まさにスバルは変わろうとしている。

中身はドラスティックに進化しているが、あえて外観はキープコンセプト。着実な進化を、そのたたずまいで示す。写真は2.0i-SeyeSightグレード

 さて、クルマの根幹といえるプラットフォームの新設計というのは10~20年のスパンを見据えて行なわれるもの。実際、現在のスバル車が使っているプラットフォームの基本となる「SIシャシー」は2003年にデビューした4代目レガシィを基にしているし、それ以前のスバル車が採用したプラットフォームの基本は1989年に誕生した初代レガシィに由来するというから、まさにスバルのクルマづくりにおける大変革というわけだ。

 これまでレガシィを起点としていた新世代プラットフォームの採用モデルが、水平対向エンジンのエントリーモデルであるインプレッサに移行するというのも注目だ。ラインナップのピラミッドでいうと頂点から変えていくのではなく、裾から進化させていこうという強い意気込みが感じられる。

デザイナーによれば、新型インプレッサの踏ん張ったスタイルを強く感じさせるというリアからの姿。伸びやかな18インチホイールの意匠もスタンス感に効いている

 さらに、すでに発表されているように、新型インプレッサには国産車として初めての歩行者保護エアバッグ(フロントウインドウの下側から展開するボディ外側のエアバッグ)を全車に標準装備するなど、安全面においても意欲作といえる。スバルは「愛でつくるクルマが、ある。」というキャッチコピーからも、自信作であることがうかがえる。

 ということで、その新型インプレッサのプロトタイプに、伊豆・修善寺の日本サイクルスポーツセンターにて試乗することができたのでレポートしよう。用意されていたのは5ドアハッチバックボディで、新型の2.0リッターガソリン直噴エンジンを積む。17インチタイヤを履く「2.0i-L EyeSight」と18インチタイヤを履く「2.0i-S EyeSight」という2つのグレードが待ち構えていた。

四駆を感じさせない曲がる脚
ステップAT的なCVT制御

 今回の試乗プログラムは、新型インプレッサ(プロトタイプ)の2グレードと、まもなく旧型となる現行インプレッサをとっかえひっかえ1時間たっぷり乗り比べるというもの。一周5分程度の周回路が舞台ゆえ、新旧比較、新型のグレード比較など、じっくり行なうことができた。

 結論から言ってしまえば、その進化度合いは大きく、乗り味はCセグメントのトップランナーといえるものだった。新旧比較ではあまりの進化ぶりに、同じインプレッサとは思えないほど。古いスバルファン向けに表現すれば「レオーネからレガシィ(初代)に変わったくらい」の進化に感じられたのだ。

チェーンをショートピッチ化することにより変速比幅は従来の6.28から7.03へと拡大。ステップATでいうと6速から8速となったのに匹敵するほどの進化だ

 現行インプレッサのベストバイといえる17インチタイヤの5ドアハッチバック(2.0リッター、AWD)と、同じく17インチタイヤを履く新型を比べてみたが、新型は四輪の接地感が強く、安心感が桁違いに高い。それでいて、クイックなステアリング特性で、安定志向のAWDと思えないほどグイグイと思いのままに曲がっていく。とくに後輪を接地させたままノーズの向きを変えていく感覚は新世代プラットフォームの恩恵といえるもの。メーター読みなので参考程度にとらえてほしいが、同じコーナーのボトムスピード(最低速度)を新旧比較すると新型は10km/hほど速いという性能差として現れた。

 さらに18インチタイヤを履くグレードは、さらにハンドリングのキレが増している。基本的なパフォーマンスが高いために、ブレーキ制御を使った旋回アシスト機能「アクティブトルクベクタリング」の効果が感じられないほどだった。お世辞抜きに、フォルクスワーゲン・ゴルフやマツダ・アクセラなど内外の強豪マシンが揃うCセグメントのライバルをリードする仕上がりだと感じられる。

新しい2.0リッターエンジンはスバル独自のNAエンジンとしては初めて直噴化された。インジェクターはソレノイドタイプで、一行程につき最大3回の噴射を可能とした

 パワートレインについても明確な進化を感じさせる。新型インプレッサの水平対向エンジンは直噴化されているだけでなく、エンジンブロックまでも新設計となり、12kgも軽量化された。トランスミッションは従来同様のチェーン式CVT「リニアトロニック」だが、チェーンの改良により変速比幅(レシオカバレッジ)を大幅に拡大。こうしたパワートレイン全体の進化は、鋭い加速感と高速巡航での静粛性という両面でアドバンテージを確認することができた。

 さらに、エンジンとトランスミッションの相乗効果により実用燃費の改善にもつながっているというから、ロングツーリングが楽しみになってくる。CVTの制御についても低速域ではスムースネスを重視しているものの、アクセルを踏み込むとステップAT的に変速をするようになっているのは、ダイレクトな加速感につながっている。

フロントオーバーハングに搭載された水平対向4気筒エンジンはスバル車のアイデンティティ。ほぼ8割が新造パーツというほどの進化を遂げている

エンジニアの「意地」が生んだ新世代プラットフォーム

 今回の試乗コースは路面が滑らかなため、一般道での乗り心地についてはまたの機会に譲ることにするが、ハンドルやアクセル操作、またシートから伝わってくる「いいモノ感」は、これまでのインプレッサはもちろん、レガシィやレヴォーグといった上級車種さえも凌ぐフィーリングだ。

17インチタイヤを履く2.0i-L EyeSight。フロントウインドウ上部に見えるステレオカメラで前方を監視するアイサイト(ver.3)は全車速追従クルーズコントロールも実現する

 まさに新世代「スバルグローバルプラットフォーム」の成果といえるが、そうした仕上がりについてエンジニアに賛辞を伝えると「キャッチコピーは『愛でつくるクルマ』ですが、僕らからすれば『意地で作り上げたクルマ』です」と、やりきったという顔で自信を示す。その言葉に偽りがないことは、プロトタイプの走りから実感できるところであったし、また試乗会に集う多くのジャーナリストの表情も同様の事実を示しているように思えた。

 最後に、これほどの力作である新型インプレッサのラインナップを紹介しよう。ボディは5ドアハッチバック「スポーツ」と、4ドアセダン「G4」の2タイプを用意。エンジンは1.6リッターガソリンと2.0リッターガソリン直噴、いずれもリニアトロニックとの組み合わせだ。

エンジンフード(ボンネット)とフロントバンパーの隙間を従来よりもタイトにすることで、高級感を増している。そのクリアランスはレガシィを凌ぐほどだという

 駆動方式はFWD(前輪駆動)とAWD(常時四輪駆動)を全グレードに設定。ステレオカメラを使った先進安全装備「EyeSight」や「歩行者保護エアバッグ」を全車に標準装備するなど安全面でもクラスをリードする装備となっている。

機能性と上質さを兼ね備えたスバルらしいコクピット。インパネ上部には6.3型液晶によるマルチファンクションディスプレーが備わり、各種情報を表示する

 発売は2016年秋というから間もなく。スバルのエントリーモデルである新型インプレッサがこれほど高いレベルに到達していることは、Cセグメントのみならず日本車のレベルアップにもつながるといえそうで、そのデビューは楽しみでしかたがない。

スバル「インプレッサSPORT(5ドア)
2.0i-L EyeSight AWD(開発目標値)」
全長 4460mm
全幅 1775mm
全高 1480mm
ホイールベース ホイールベース:2670mm
最低地上高 130mm
車両重量 1400kg
乗車定員 5名
エンジン型式 FB20
エンジン形式 水平対向4気筒DOHCガソリン直噴
総排気量 1995cc
最高出力 113kW(154PS)/6000rpm
最大トルク 196Nm(20.0kg-m)/4000rpm
変速装置 CVT
燃料消費率 16.8km/L (JC08モード)
タイヤサイズ 205/50R17

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