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写真満載!行かないと分からないので行ってきた

TECH大谷が行くKVHシンガポールデータセンター見学ツアー

2014年04月23日 06時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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バイリンガルエンジニアが語るシンガポールの魅力

 さて、ここまででファシリティやネットワーク、ロケーションなどデータセンターの“ハコ”自体はある程度概要をつかめたと思う。スペック面で日本や欧米のデータセンターに、ひけは取らないことは理解いただけたのではないか? 

 しかし、国内ならいざ知らず、海外のデータセンターということで、言葉の壁は気になる。しかも、「シングリッシュ」と呼ばれるシンガポール人の英語は母音の発音が独特で、かなり聞き取りづらいのが難点だ。導入や運用においても、現地のエンジニアがこちらの指示を理解して、作業してくれるのか、不安もあるだろう。

海岸近くの一等地にあるKVHのシンガポールオフィスは、姉妹会社であるコルトと共同利用

 これに対して、KVHは日英のバイリンガルスタッフが常駐しており、顧客の要望を適切な形でオペレーターに伝えてくれる。今回は、KVHのシンガポールオフィスに常駐しているバイリンガルエンジニアに話を聞くことができた。

KVH インターナショナルサービス デリバリー&オペレーション プロジェクトコーディネーター 竹内あすかさん

 今回、話を聞いた竹内あすかさんは、KVHの国際サービスにおいてデリバリーとオペレーションを担当するプロジェクトコーディネーターだ。営業から来たオーダーを受け、海外提携キャリアや現地の作業員とやりとりしてシステム構築をコーディネートし、運用チームに渡すまでが竹内さんの仕事だ。もともとKVHの東京オフィスで働いていたが、2010年2月に現地オフィスができて以来、シンガポールで勤務しているという。竹内さんは、「国際サービスのお客様は日系企業だけでなく、外資系の金融会社も多いのですが、私自身、もともと東京でもシンガポールを含むさまざまな国出身のIT部門の方と英語でやりとりしていました。今はシンガポールで、東京からシンガポールに拠点を移すお客様のサポートをしますので、言葉の壁について心配する必要はありません」と語る。

 竹内さんにシンガポールの印象を聞くと、「インフラが整備されていて、ITを含むハード面だけではなく、運用面でも非常にやりやすい。シンガポール人は仕事が細かく、気が利き、日本人の細かい要求にも対応してくれる」と語る。また、現地のITベンダーはフットワークが軽くて、フレキシブル。「シンガポールはデータセンターやPOPが多いのですが、部材の交換やメンテナンスをお願いしても、すぐに調整してくれ、スケジュールもスムーズに決まります。何週間前までには詳細とオーダーをください、みたいなことはないです」という。その他、グローバルベンダーの製品が容易に調達できるほか、地震や洪水などの自然災害がほとんどないといった魅力もある。他のアジア諸国は羨望とやっかみを込めてシンガポールを“プレミアム”と呼ぶが、人材面やインフラ面などトータルで高い魅力を持っているのは事実のようだ。

 国際サービスにおいては、低遅延を売りにした回線ビジネスがメインだが、最近はデータセンターやクラウドのビジネスが堅調に立ち上がっているという。今回紹介したデータセンターは、日本から東南アジアへ進出しようとする企業、シンガポールにオフィスを置きたい企業にオススメで、DR(Disaster Recovery)サイトとしても最適だ。 「実際、アジアに展開するコンテンツプロバイダー、SIer、金融からの引き合いが多い」(KVH マーケティング部マーケティングエグゼクティブ 橋本佳奈氏)とのこと。日系企業の割合も増えており、今後は竹内さんが日本語を使う機会も増えそうだ。

日本と同じレベルのデータセンターがシンガポールでも

 さて、今回はバーチャルツアーをコンセプトに、KVHのデータセンター見学はもちろん、シンガポールの街中をレポートし、KVHのエンジニアの方にも話を聞いた。いかがだっただろうか?

 KVHシンガポールデータセンター1の個人的な感想としては、「日本と同じレベルのデータセンターがシンガポールでも借りられる」という印象だ。金融機関をメインの顧客にするKVHだけに、ファシリティやセキュリティ、運用まで含め、高いレベルをキープしていると感じられた。さらにKVHの場合、データセンターとネットワークを一体化して提供できるほか、問い合わせ窓口が日本にあり、提案から導入、運用まですべて日本語で対応可能なのが大きな強みといえる。

 一方、日本のデータセンターとの唯一にして最大の違いは、やはり省エネと自然災害への備えであろう。以前見学したKVHの国内データセンターは地震や水害に対する耐障害性を売りにしていたが、自然災害のリスクが少ないシンガポール(マレー半島全体がそうだ)だけに、データセンター本来のスペック向上に注力できるのであろう。

 ということで、KVHは今後もアジア圏におけるインフラやネットワーク面での拡充を図る計画だ。グローバル化を目論む企業が今後IT拠点を検討する際は、KVHを選択肢に入れるべきであろう。

(提供:KVH)

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