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すぐに使える、増速できる!従量課金もOK!

100の主要データセンターを相互接続するKVHの「DCNet」

2014年06月18日 06時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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6月17日、KVHはアジアにある主要100のデータセンターを同社のネットワークで接続する「DCNet」のサービスを発表した。データセンター間接続サービスとしては業界初のバースト機能を備え、従量課金での利用が可能なほか、サービス導入やアップグレードも迅速に行なえる。

2014年末までに100データセンターの接続を完了

 今回KVHが発表したDCNetは、東京、大阪、香港、シンガポール、そして米国の主要データセンターを相互接続するネットワークサービス。サービス概要については、KVH テクノロジー本部 執行役員の濱田義之氏が説明した。

KVH テクノロジー本部 執行役員の濱田義之氏

 まずサービス提供エリアだが、8月のDCNetサービス開始時に接続されるのは、東京32施設、大阪16施設、香港7施設、シンガポール3施設。サービス開始後も順次接続を進め、年内に主要100データセンターを接続する予定となっている。各データセンターにネットワーク設備を設置し、同社のキャリアクラスEthernetで相互接続する。加えて、米国データセンター事業者のコアサイト(Coresite)との提携により、北米のデータセンターとの接続も提供する。

2014年末までの接続予定

 契約体系としては、各国の大都市内でのサービス利用を対象とした「メトロDCNet」と、海外への接続サービスを対象とした「インターナショナルDCNet」の2つが用意されており、ポイント・ツー・ポイント、ポイント・ツー・マルチポイント、マルチポイント・ツー・マルチポイントの形態で接続できる。また、伝送帯域は100Mbps~最大10Gbpsまで提供されており、2015年第一四半期には100GbEまで拡張する予定。回線や設備はすでに備え付けられているため、通常6週間程度かかる導入も1週間程度で完了するとのこと。アップグレードに関しても、最短2営業日で実現するという。

 料金体系に関しては拠点間の帯域保証型だけではなく、トラフィックの月間利用量に応じたバースト型が用意されている。帯域保証は1年契約の一律料金で、帯域を保証。バースト型であれば、DCNetポートの月額契約を支払うだけでサービスが利用可能になっており、あとは利用量に基づいたメガビット単位での支払いになる。利用量に関しては、5分ごとに計測し、計測された最速の通信速度を記録。意図しないトップの5%を除外したものを当月の利用分になる。

ポートの利用量とトラフィックに応じた従量課金も用意

SDNコントローラーによる柔軟なデプロイを実現

 こうしたサービスを提供する背景としては、データセンター間のトラフィックが増加するという今後の市場予想がある。同社が引き合いに出す「Cisco 2013 Global Cloud Index Forecast」では、トラフィックの85%がユーザー拠点とデータセンター間、残り15%がデータセンター間になっている。このうちデータセンター間のトラフィックは、クラウドの採用やデータセンターの増加などの影響を受けて増加。平均で26%で伸び続け、2017年には530エクサバイトまで増えるという。

データセンター間のトラフィックは今後も増大

 こうして成長が見込まれるデータセンター間接続だが、従来からいくつかの課題があった。たとえば、複数の回線契約が面倒、プロビジョニングに時間がかかる、帯域保証のみの長期契約しかないといった課題だ。また、アップグレードのために別途設備が必要で、料金が固定的で高コストになりがちといった点もあるという。その点、DCNetは窓口をKVHに一元化することで、回線契約における交渉や管理の負担を軽減。帯域保証だけではなく、バースト接続が用意されているほか、従量課金にも対応するのが売りだ。

 発表会では、DCNetのバックボーンを支える製品として「Cyan Packet-Optical Zシリーズ」が採用されていることも明らかにされた。Cyan Zシリーズでは、100Gbpsに対応する大容量伝送やSDNコントローラーによる柔軟なネットワークプロビジョニングが実現されており、KVHの提供するカスタマーポータル・APIによって制御することも可能になるという。今後はSDNコントローラーとコンピュートリソースを制御するクラウドコントローラーが連携することで、より容易なサービスオーケストレーションが実現するとのこと。

クラウドとSDNのコントローラーでサービスのオーケストレーションが実現

 サービスは、同社のデータセンターを利用しているユーザーに限らず、接続されているデータセンターのユーザーであれば利用できる。接続されているデータセンターは営業が個別に案内するが、多くのデータセンターで利用可能になっているようだ。

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