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写真満載!行かないと分からないので行ってきた

TECH大谷が行くKVHシンガポールデータセンター見学ツアー

2014年04月23日 06時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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基本はなんでも2つ!高い冗長性を誇るファシリティ

 さて、サーバールームを見ていこう。ビル内のKVHのスペースには、サーバールームのほか、バッテリー室とUPS室が設けられている。部屋自体も二重化されているので、たとえばどちらかの部屋で火災が発生したとしても、サービスを継続できる。IT機器の停電や災害のリスクに対する耐性はかなり高いといえる。

サーバールームの手前にあるUPS室にはKVH専用のUPSが備え付けられており、停電に備えられている

停電対策のバッテリーを備えている

ガス用の消火設備も自前で用意

 サーバールームは260ラック分のスペース(667.5㎡)が用意されており、すでに一部のラックが備え付けられていた。ラック単位のコロケーションだけではなく、スペース単位のホールセールも行なっている。実際、金融機関のシステムのために、ケージで囲われた区画が用意されており、明日の引き渡し前に見ることができた。1フロアで1000㎡のKVH国内データセンターに比べれば、ややこじんまりしているが、顧客の増加と共に他のスペースを追加できるので将来的にも問題ない。

サーバールームの入室には生体認証が必須となる

サーバールームへようこそ。260ラックの収容が可能

 ITラックは47Uが標準で、標準でナンバーロックを搭載。ラックあたりの供給電力は、最大3kW。左右にインテリジェントPDUが備え付けられているので、接続された機器の電力使用量を遠隔から監視できる。ビルとしては「Green Mark Gold認定」も取得しており、DCIM(DataCenter Information Management)に関しては、やはり先進的に取り組んでいるといえそうだ。

標準のITラックは47Uということで、なかなか高密度に搭載可能

標準でナンバーロックによる施錠が可能

左右にインテリジェントPDUが配され、電力利用量をリアルタイムでチェックできる

電力供給用のコネクタもさまざまな形状を用意している

 サーバールームは80cmのフリーアクセス床となっており、電力線やチラーで冷やされた冷水のパイプは床下を通ることになる。電力線とパイプが同居しているため、水漏れが気になるところだが、漏れを想定した間仕切りが施されているので、問題ないとのこと。一方でITケーブル等は上部にあるラダー上に配置される。フリーアクセス床から天井までは410cm。天井が高いので、かなり余裕があるように見える。なお、フリーアクセス床の耐荷重は1.2トンとなっており、高密度実装に耐えうる仕様になっている。

ITケーブル類は上部のラダーを通って上流のネットワークに接続される

 サーバールームには24時間365日体制のネットワークオペレーションセンターが併設されており、機器の監視・マネジメントのほか、リモートハンズサービスを提供する。後述するようにKVHでは、日英バイリンガルのエンジニアが顧客をサポートしているので、言語の壁で対応が遅くなると言う心配はないとのことだ。

サーバールームのすぐ横にある部屋で監視やマネジメント、がんばってます!

 今回データセンターを案内してくれたKVHのウィルソン・ライ氏によると、2014年はネットワークの大容量化を施し、KVHが誇るグローバル超低遅延ネットワークとの接続性をますます強化していくという。POPまでの多彩なルートオプションを用意すると共に、東京、香港、ムンバイ、釜山、シドニーなどに直接接続。点と点につながっている拠点を面として展開していく予定だ。また、データセンターの空調やデザインに関しても、さまざまなプランを持っているようで、今後も期待できそうだ。

KVH データセンター オペレーション ファシリティ スペシャリスト ウィルソン・ライ氏

(次ページ、バイリンガルエンジニアが語るシンガポールの魅力)


 

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