「Extra Bass」による重低音再生&
“5本すべて前”で5.1ch再生する「Virtual CINEMA FRONT」
RX-V577は“音”に関連するユニークな機能もある。「Extra Bass」と名付けられた新機能は、薄型テレビのラックの上やPCの横に設置するような、コンパクトタイプのブックシェルフ型スピーカーでも重低音を楽しめる新機能。
仕組みは、例えば小型スピーカーでは再生の難しい80Hz以下の重低音成分を、その上の80Hz~200Hzの帯域にシフトさせる形で差し込み、聴感上、重低音域が鳴っているように感じさせるというもの。ホームシアター入門向けのスピーカーセットを購入する率が高いであろう、エントリーユーザーに向けて開発された機能と言える。
そして、5.1chサウンドの常識を覆す「Virtual CINEMA FRONT」も非常に面白い。一般的には5.1chというとフロントの左右2本にセンタースピーカー、そして視聴位置の背後にサラウンド2本というスピーカー構成だ。
このサラウンド2本というのが設置上のクセモノで、スピーカーケーブルも伸ばさないといけないし、置き場所の確保も必須という、5.1chの普及を阻む最大の要因だった。
今回からの新機能Virtual CINEMA FRONTは、そのサラウンドの2本をユーザーの前に置いてしまう……つまり、5本すべて前方に置く形で5.1chを組めるというものだ(センタースピーカーレスの4.1chも可能)。
これは、センタースピーカーは通常のフロントの音を出しつつ、サラウンド用として設置された前方スピーカーのみバーチャルスピーカーの技術を使うことで、半バーチャルの5.1chサラウンドを作ってしまう。サラウンド用スピーカーの位置はフロントスピーカーの内側、外側問わずに横に並べて置けるので、ケーブルを伸ばすことなくテレビ周辺だけでスピーカーを完結できるという新提案だ。
もちろん、ホームシアターの定番・ヤマハのAVアンプだけに、初期設定の際には付属マイクによる視聴環境最適化技術「YPAO」による自動設定で簡単に空間を作り出せるし、サラウンド効果の「シネマDSP 3Dモード」も前述のアプリAV CONTROLLERで操作できる。
「オーディオ機器を触った経験はあるけれど、AVアンプは初めて」という人にとっては、こうした親切かつオーディオ技術に裏打ちされた自動セットアップ、および手軽な音響最適化のほうがの驚きが大きいかもしれない。