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ヤマハ豊岡工場にも潜入!

NECのPCに搭載「Audio Engine」は極上のサラウンドを実現する

2014年08月01日 18時51分更新

文● 松野/ASCII.jp編集部

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静岡県のヤマハ豊岡工場

 NECパーソナルコンピュータ(以下、NECPC)は7月31日、静岡県磐田市のヤマハ豊岡工場で、同社の2014年夏モデルに搭載するサウンドシステム「Audio Engine」に関する発表を実施した。

 工場では、ヤマハ半導体事業部 事業企画部 技術開発グループ技師の石田厚司氏、研究開発統括部 第2研究開発部 ユニットグループ技師補の新井明氏、NECPC商品企画本部 プラットフォームグループ マネージャーの石井宏幸氏にお話をうかがった。

左から、NECPC商品企画本部 プラットフォームグループ マネージャーの石井宏幸氏、ヤマハ半導体事業部 事業企画部 技術開発グループ技師の石田厚司氏、研究開発統括部 第2研究開発部 ユニットグループ技師補の新井明氏

ソフトウェアでサラウンドを実現、「聞こえないはずの音を聞かせる」技術も

 NECPCは2009年からヤマハの協力を受け、付加価値戦略の一環として同社のノートPC「LaVie」およびデスクトップPC「VALUESTAR」シリーズの音質強化に取り組んできた。これまでは「VALUESTAR W」のSR-Bass対応2.1chシステムを皮切りに、FR-Port対応スピーカーや磁性流体を用いた2WAYスピーカーなど、主にヤマハ製スピーカーを搭載して音質強化を実現してきたわけだが、今回のAudio Engineは、音響環境を補正するDSP機能を提供するソフトウェアだ。

ヤマハのサウンドシステム「Audio Engine」

 これまでハードウェアそのものに搭載していたDSPをWindowsのソフトモジュール化している。コンサートホール設計の経験と豊富な音響実測データにもとづいて開発されたもので、電気的に残響をほどこしたり、リバーブをかけるなどして、仮想サラウンド空間を実現する。「VALUESTAR N」「VALUESTAR S」「LaVie L」の3モデルに搭載し、各モデルごとに最適化したものが出荷されているという。

Audio Engineの解説は実際に開発に携わった石田氏が担当

 今回搭載されたAudio Engineの主な機能は5つ。「AEQ(Acoustic total-linear EQ)」は、通常のイコライザーよりも高精度に周波数特性を補正するだけでなく、位相(時間軸)の遅延も補正し、音質をより自然に改善する技術だ。PCの場合はスピーカーの配置に制約があり、奥まった場所にスピーカーが隠れてしまえば音の反射や回折が起きてしまうことも多い。発生する周波数や位相の歪みを限りなくフラットに補正することで、まるでユーザーの正面にスピーカーが設置されているような音場を実現している。

周波数と位相をフラットに調整し、音の反射や回折を防ぐ「AEQ」

低音が再生されているように聞こえてしまう人間の錯覚を利用した「Harmonics Enhancer Extended」でスピーカーを補う

 「Harmonics Enhancer Extended」は、低音が「再生されているように聞こえる」技術。ピンと来ない人も多いと思うが、人間の脳は、音の高さを「周波数」と「倍音の構成比率」の2要素によって認知している。基本の周波数が再生されていない場合でも、周波数と比率の合う倍音を再生してやれば、人間の脳は再生されていないはずの音高を認識するのだという。これをミッシング・ファンダメンタル(失われた基低音)の錯覚という。これを利用し、スピーカーが再生できない周波数の倍音成分を強調することで、鳴らないはずの低音を聴き手の脳に認識させるのがHarmonics Enhancer Extendedだ。

 「Spacious sound 3D」は、ステレオスピーカー向けサラウンド技術。「サラウンドは横に広がってしまう技術も多い(石田氏)」というが、実測データをベースに、前方・奥行方向に立体感を与えるよう調整されているという。「Clear Voice」はコンテンツ内の信号を解析し、人の声と背景音とを分離して処理することで輪郭を整え、音声を聞き取りやすくする。「Adaptive Volume」はさまざまなソースの音量レベルを自動補正し、音揺れや反応の遅れ、音質変化などの弊害を排除する。テレビ番組とCMで音量が変化したり、動画サイトなどのネットコンテンツに見られる音量差を緩和してくれる機能だ。

(次ページ、「音楽・映画・スポーツなど、コンテンツにあわせてサラウンドが楽しめる」に続く)

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