今回のことば
「2014年度は『逆襲』を遂げることができた1年。デルは元気がある、勢いがあるというイメージができたのではないか」(デル・郡信一郎社長)
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2014年1月に終了した同社2014年度を総括して、デルの郡信一郎社長は、「『逆襲』を遂げることができた1年」と語る。
本コラムでも紹介したように、郡社長は、日本法人が20周年の節目を迎えた2014年度のキーワードに、「逆襲」を掲げ、「これまでは守りに入りすぎていた反省がある。もっと積極的にチャレンジしていく姿勢を、デル日本法人全体に浸透させたい」と語っていた。
そして、この1年の成果を振り返り、その「逆襲」を達成したと、郡社長は総括する。
実際、デルの躍進は注目に値する。
ガートナージャパンの調べによると、国内PC市場においては、2013年(2013年1月~12月)のデルのシェアは10.3%となり、4位に浮上。市場全体の成長を大きく上回る伸びをみせた。
郡社長は、「年間で2ポイントのシェア上昇。四半期ごとに2桁成長を遂げていること、年平均成長率で28.5%増を達成した」などとし、「法人向けPC、個人向けPCもそれぞれ成長することができたが、なかでも、デルの魅力が発揮できる領域において、投資を加速した効果が出ている」とする。
新たに設置したPCの専任部門が、市場を細分化して分析。その結果、日本の市場においては、SOHO向けPCやゲーマー向けPCなどにおいて、成長性があり、競合環境でも優位性があると判断。そこに投資を行ってきたという。その成果は、国内中小・中堅企業向けPCの出荷台数ではナンバーワンシェアを獲得したという結果につながっている。
好調なのはPCだけではない。
サーバー製品では約1ポイントのシェア上昇。さらに、高密度サーバーにおいては2四半期連続でのナンバーワンシェア、Linuxバックアップ市場シェアでは11年連続ナンバーワンシェア、iSCSIディスクストレージ市場では20四半期連続でのトップシェア、1~99人の法人向け市場においてx86サーバーでトップシェアとなるなど、デルが得意とする領域での成果があがっている。
ストレージのCompellentや、統合型ソリューションのPowerEdge VTRXといった戦略的製品も市場から高い評価を得ている点も見逃せない。
「この1年で、デルは元気がある、勢いがあるというイメージができたのではないか」と、郡社長はその成果に自信をみせる。
そして、デルが目指すソリューションプロバイダーとしての取り組みも、大きく歩みを進めた1年になったといえよう。
それを象徴するのは、SonicWALLやSecureWorksといったセキュリティ関連製品、そして、デルソフトウェアというブランドに統一したソフトウェア製品群の提供だ。
「2014年度は、エンタープライズ領域での実績、評価が高まっているのが特徴だといえる。デルソフトウェア製品群を加えたことで、エンド・トゥ・エンドでソリューションを提供できるのがデルの特徴であり、日本のお客様が求めるソリューションに合致した提案が可能になっている。サーバーやクライアントPCに加えて、ネットワークスイッチ、ストレージ、管理ソフトウェアなどを含めたシステム提案が、少しずつお客様から評価されている」と語る。
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