ゲームチェンジ、ハードからソリューションの企業へ
では、2014年2月からスタートした2015年度はデルにとってどんな1年になるのか。
郡社長は、「今年度のキーワードは『ゲームチェンジ』。ITインフラはこうあるべきだという提案をしたい」と語る。
「デルが、ソリューションプロバイダーへの道筋を推進するなかで、運用、管理といった点においても、デルのソリューションを通じて、より大きな価値を提案していきたい」とし、これまで以上に、ソリューション提案の拡充に力を注ぐ姿勢を示す。
具体的には、「IT予算の7割以上が運用管理に割かれている状況を改善することで、お客様の環境を変えていきたい」とするほか、「競合他社に比べて最大75%のコスト削減が可能になる当社のオールフラッシュストレージ製品の強みを生かして、中堅、中小規模の企業に対してもオールフラッシュストレージ製品のメリットを提案していきたい」などとする。
2015年度の方向性として郡社長が掲げる、「Software-Defindによるデータ運用の自動化」や、「オールフラッシュストレージの民主化」といった言葉にも、ゲームチェンジの意図が込められている。
とくにポイントとなるのが、デルソフトウェア製品群の拡充だろう。
郡社長はこの点には具体的には言及していないが、マルチクラウド環境でデータを同期する「Boomi」、マルチクラウド環境を一元管理する「Enstratius」、ディザスタリカバリでの活用が可能なAppAssureといった、まだ日本には投入されていないデルソフトウェア製品群の日本への展開も期待されるところだ。
そして、2015年度は、創業者であるマイケル・デル氏が、1984年に事業を開始して以来、30年目の節目の年になる。
その節目の1年は、2013年10月29日の非公開化によって、1年を通じて非公開企業として事業を展開する最初の年となる。
「社内では、世界最大のスタートアップ企業と呼んでいる。非公開化によって、これまで以上にお客様視線でソリューションを提供することができるようになる。デルが目指すソリューションプロバイダーとしての成長を、さらに加速できる」とする。
デルが創業以来変わらないことは、オープンであり、業界標準であり、拡張性のある製品を提供していることだと郡社長は語る。そして、この姿勢はこれからも変わらないとする。
「逆襲」から、「ゲームチェンジ」へとキーワードを変えたデルは、今年も「元気」な姿をみせる1年となりそうだ。
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