斬新な設計のファンレスクーラー
Zalman「FX-100」
Zalmanといえば「CNPX9900 MAX」を始めとするループ状のヒートパイプを採用した超高性能クーラーなどで知られたメーカーだ(当企画でも何回か紹介している)。しかし2013年度版で取りあげるのは、それとは正反対の性格を備えた“キューブ型ファンレスクーラー”、「FX-100」である。
●対応ソケット:775/1150/1155/1156/1366/2011、AM2/AM2+/AM3/AM3+/FM1/FM2
●寸法/重量:156(W)×156(D)×157(H)/約770g
●実売価格:8000円前後
●製品情報URL:http://www.zalman.com/jpn/product/Product_Read.php?Idx=782
FX-100の姿をあえて別の言葉で表現するなら“ヒートパイプで編まれたバスケット”だ。ベース部分から出ているヒートパイプはわずか4本だが、それを6本のパイプに連結することで、全体でバスケット状のヒートパイプを構成している。
FX-100のサイズはほぼ156mm四方という大きさだが、適度にベースと上部構造がオフセットされているため、ビデオカードとの干渉は発生しにくい(ただしメモリーはほぼ覆われる)。
ヒートシンクのフィンはこのバスケットの外殻を形成するよう取り囲んでおり、上からみると四角いドーナツ状のになっている。上部中央はカバーになっており、装着時はここからドライバーを入れて作業するだけでなく、中央に90mmファン1基を格納し冷却性能を上げることも可能だ。
ファンレスだけあって冷却性能はわずかTDP 95W。普段使いのPCに組み込むなら保険の意味でファンを仕込んでおくのがよさそうだ。ただどんな90mmファンでも格納できるわけではない、という点に注意は必要だろう。
専用クリップで固定するため、リブなし(表裏のネジ穴が連結されてない)を使うというのは問題ないのだが、意外なことに手持ちの90mmファンは半分も押し込めなかった。CPUクーラーはもとよりケースファンも120~140mmが一般的な今、90mmファンに投資するのは気が進まない。
さすがにファンレスのFX-100とオーバークロックしたFX-8350をそのまま組み合わせても高負荷テストで落ちるだけなので、手持ちの静音90mmファンの風(メーカー不明)をヒートシンクの外側から吹きつけるように置いてテストした。この状態で4.6GHzは完走しなかったが、4.4GHzに落とせば見事完走。
80度というCPU温度は、今回の検証環境ではそれ以上上がろうとすると確実に落ちる限界温度だ。もうちょっとパワーのある90mmファンを使うか、ケースファンの風を利用すればさらに冷却力は上がるだろう。パーツの組み合わせや配置次第では、冷却性能はもっと伸びる可能性を秘めている。
アイドル時 | ||||||
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CPU温度 | チップセット温度 | メモリー温度 | VRM温度 | ファンノイズ | ファン回転数 | |
34.0 ℃ | 34.2 ℃ | 31.3 ℃ | 37.7 ℃ | 33.4 dBA | 1700 rpm | |
純正より | -8.0 ℃ | -6.2 ℃ | -8.4 ℃ | -9.0 ℃ | -0.6 dBA | -308 rpm |
高負荷時 | ||||||
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CPU温度 | チップセット温度 | メモリー温度 | VRM温度 | ファンノイズ | ファン回転数 | |
80.0 ℃ | 34.7 ℃ | 38.6 ℃ | 41.3 ℃ | 38.1 dBA | 1700 rpm | |
純正より | +1.0 ℃ | -8.7 ℃ | -12.1 ℃ | -11.4 ℃ | -4.4 dBA | -1967 rpm |
2011年に誕生した新興メーカーの新作
Phanteks「PH-TC12DX」
最後に紹介するのは比較的新しいCPUメーカーであるPhanteksの製品。2012年度版では変態的な形状の製品を含め3製品紹介したが、今年はスタンダードなデュアルファン仕様の「PH-TC12DX」に絞って紹介する。
●対応ソケット:775/1150/1155/1156/1366/2011、AM2/AM2+/AM3/AM3+/FM1/FM2
●寸法/重量:126(W)×107(D)×157(H)/約880g
●ファン回転数:600~1800±10%(PWM制御)
●風量:23~68.5CFM
●ノイズ:21.9~27.6dBA
●実売価格:8000円前後
●製品情報URL:http://www.phanteks.com/PH-TC12DX.html
Phanteksもヒートシンクに着色するのが好きなメーカーだが、もちろんこれは美観追求以上の理由がある。放熱を助けると同時にGPUなどから発せられた熱の影響を抑える「P.A.T.S.(Physical Antioxidant Thermal Shield)」および「C.P.S.C.(Cold Plasma Spraying Coating Technology)」といった独自技術が込められているのだ。
ヒートシンクのカラーリングはホワイト/ブラック/レッド/ブルーの4色が用意されている。ヒートシンクはヒートパイプ4本と、中央部に切り欠きのあるフィンで構成されている。
ヒートパイプはCPUに直接接触せず、銅プレートでまず熱を吸い上げるタイプだ。このプレートの上に被さる固定用金具はベース中央部分にもネジがあり、装着後にこれを締め込むことによりさらに取り付け圧を増やすことができるのは高く評価したい。
塗装で放熱性能を向上させる製品といえば、すでに紹介したETS-T40-Wがあるが、高負荷テストは4.4GHzが限界というちょっと残念な結果になった。ただしOCCTのグラフにある通り、負荷が目一杯入っているにも関わらずCPU温度は4.4GHz組としては唯一60度台にとどまっている点が興味深い。
その時のファン回転数の最高値は約1100rpm。静音志向のためファンの風量を絞っているためと推測できるが、残念ながら時間切れでこれ以上の検証は断念した。
今回の検証ではオーバークロックの上限値こそやや低かったものの、かなり静かなクーラーであることは掴めた。静音性を確保しつつ、ちょっと変わった見た目の製品がよいと考えるなら、PH-TC12DXは良い選択肢なのではなかろうか。
アイドル時 | ||||||
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CPU温度 | チップセット温度 | メモリー温度 | VRM温度 | ファンノイズ | ファン回転数 | |
32.0 ℃ | 34.4 ℃ | 32.9 ℃ | 39.7 ℃ | 39.1 dBA | 990 rpm | |
純正より | -10.0 ℃ | -6.0 ℃ | -6.8 ℃ | -7.0 ℃ | +5.1 dBA | -1018 rpm |
高負荷時 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|
CPU温度 | チップセット温度 | メモリー温度 | VRM温度 | ファンノイズ | ファン回転数 | |
64.0 ℃ | 34.8 ℃ | 41.6 ℃ | 44.5 ℃ | 45.3 dBA | 1236 rpm | |
純正より | -15.0 ℃ | -8.6 ℃ | -9.1 ℃ | -8.2 ℃ | +2.8 dBA | -2431 rpm |
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