DivX 10、VLC―「H.265/HEVC」対応はサードパーティーから
Thunderbolt 2とHaswellでハードウェア的に4K対応しつつあるMacだが、ソフトウェア的にはいまだ不透明な状況といえる。画面サイズは4Kで出力可能かもしれないが、Macは4Kコンテンツを扱うための"基盤"が十分ではないのだ(他のPCも事情は変わらないが)。
第124回「iPhone/iPadが「H.265/HEVC」をサポートする日」でも書いたが、単純計算で情報量がフルHDの4倍となる4Kコンテンツは、現在普及しているH.264/AVCの圧縮率ではファイルサイズがかさんでしまい(帯域の都合で)配信が難しい。4KコンテンツをMacで扱うには、H.264/AVCの約2倍という圧縮率を実現する「H.265/HEVC」など、高効率なビデオコーデックが不可欠だ。
一般的にコーデックは高効率になるにつれ複雑な計算が求められるため、より高い演算性能が必要になるが、H.265/HEVCは比較的"軽い"コーデックだ。圧縮率は2倍だが再生負荷はそれ以下とされ、その軽さも注目を集める理由となっている。ハードウェアデコーダチップの量産が開始されるとの報道もあるが、CPUパワーがアップしたことを考慮に入れると、当面はソフトウェアデコードで対応しようという動きが出ても不思議はない。
実際、昨年9月にリリースされた「DivX 10」はH.265/HEVCを標準サポート、PC市場向けにいち早く4K対応を打ち出した。多様なフォーマットに対応する定番メディアプレイヤー「VLC」も、11月公開のバージョン2.1.1でH.265/HEVCをサポートしている。
ただし、H.265/HEVCのサポートは“Apple純正"が望ましい。OS Xのマルチメディアフレームワークは、QuickTime由来のQT KitからiOS由来のAV Kitに変更され、これまでのようにQuickTimeプラグインを追加する形でビデオコーデックを追加できなくなったからだ(筆者が調査した限りではサードパーティーによる拡張は困難)。「H.265/HEVCムービーをQuickLookでプレビューしたい」「iTunesやiPhotoで管理したい」といった使い方はAppleの対応を待つしかなさそうだ。
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