もちろんしっかりとした曲作りも可能
もちろん普通のステップシーケンサーとしての機能はきちんとしていますから、マジメに使うこともできます。
音声が小さいので、必要に応じて音量調節をしてください
私の場合はまず下の方(水色と抹茶色)のトラックにキック(Drum A~D-1)とスネア(Drums A~D-2)を入れて基本になるビートを4小節ほど作り、JAMモードに切り替えて、ループさせたリズムの上に乗るフレーズを考えます。下の方にビートを入れるのは、JAMモードでスワイプする際に邪魔になりにくいからです。
上の方の8トラックくらいに異なる音色を差し込んで適時なぞるラインを変えていきながら合いそうな音を探して、フレーズが固まったら、JAMモードから戻り、パートのシーケンスを組み立てます。あとはコピー&ペーストでトラックの長さに合わせ、また別のパートを考えるためにJAMモードに切り替え、という流れの繰り返しでどんどん音を重ねていきます。
16小節のmatrixtrackが埋まってしまったら次のパターンにベーシックなリズムだけをコピーして切り替えてもいいですし、また別のリズムから組み直してもいいでしょう。アイディアを拾うのには12トラックのパートチャンネルは充分だと思います。これ以上小さくなると各ラインがプレイしづらいでしょうし、8トラックだとちょっと物足りない。
前回のAlchemy mobileはわずか4トラックでしたが、カッチリとしたリズムループが入っていましたから問題はありませんでした。
一度打ち込んだフレーズのチャンネルのスケール設定を変えると、思いもよらないフレーズに化けたりもするので楽しいです。BPMコントロールのレスポンスもいいので、なんとなくしっくりこないときにパッとテンポを切り替えれば、また別のアイディアが生まれたりもすると思います。
16ステップシーケンサーの基本的な部分を踏襲しながら、ここまでポップなデザインに仕上げたセンスが素晴らしいですね。さまざまな色でピカピカ光る画面から音が流れ出す、それを見ているだけでも楽しいと思います。
自分で録音したサウンドを取り込み、シーケンスに組み込んで鳴らすことが可能なので、ちょっと工夫をすればDJ的な使い方もできるでしょう。
欲を言えば、トラックのカラーパターンをもっと細かくしてより自分好みの色調にできたらいいかなと。「お絵かき」がより楽しめそう。プリセットされている音色もちょっと少ないと思うので、プリセットサウンドの追加も期待したいです。
またJAMモードは意外性のある音の流れが生まれるので、JAMモード時のリアルタイムレコーディングができるとさらにフレーズを作るのが楽しくなるかもしれません。あとはステップシーケンサーゆえの問題ですが、持続音が作れないのでタイ機能もつくと嬉しいかな。
とはいえ音楽理論も音楽知識もなくても曲ができ、見た目も可愛いmoxMatrix。音楽の授業はお昼寝タイムだった人にもオススメです(笑)。
藤村 亮(ふじむら りょう)
1981年埼玉県生まれの音楽家。2006年にバンド"AciD FLavoR"の7弦ギタリストとしてメジャーデビュー。2008年にベルギーのインディーズレーベルと契約を交わし"Ryo Fujimura"としてソロ活動を開始。ヨーロッパ最大の日本文化イベント"JapanExpo"や各国で行われるJ-Musicイベントなどにゲスト参加。2012年からは活動の幅をメキシコにも広げ、3度に渡るライブツアーを行なう。2013年4月、ロックバンド"流天"を結成。ヴォーカルとギター、作詞作曲を担当。愛用のIbanez製7弦ギターを手に世界を渡り歩くロックジプシー。
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