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ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第200回

新設計Atom「Bay Trail」のタブレット向け戦略とは?

2013年04月29日 12時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/

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年内登場予定のAvotonとRangeley
さらに2014年には14nmに微細化

 Atomを利用するもう一つの分野が組み込み向け、特にクラウドサービスなどに向けたマイクロサーバーや小型NAS向けの製品群である。この市場の話は、以前連載177回の最後で少しだけ触れたが、サーバー向けにインテルは2012年末にCentertonというコード名の製品をリリースしている関連サイト。モデルナンバーは「Atom S1220/S1240/S1260」で、動作周波数は1.6~2GHzのデュアルコアAtomである。

開発コード“Centerton”こと「Atom S1220/S1240/S1260」(インテル公式サイトより抜粋)

 製造プロセスは32nmで、TDPが6.1W~8.5Wと低いため、ブレードサーバーなどに向いているとしている。ただし拡張バスがPCI Express 2.0 x8が1本のみなので、家庭向けの安価なNASサーバーはともかく、企業向け向けの本格的な製品としてはRAIDコントローラーを外付けするとそれで終わってしまい、高速なイーサネットに接続できないという欠点がある。性能自体もそれほど高くなく、メモリーも最大8GBと限られているので本格的な利用には色々不満も多かった。

 これらの不満点を改善した製品の第一弾が「S12x9」シリーズである。PCI Express 2.0で最大40レーンを利用できるようにし、RAIDコントローラーの機能も内蔵することで企業向けの本格的なNASサーバに利用できるように強化された。

「Atom S12x9」シリーズの概要。コアそのものは既存の32nmのAtomそのままで、PCI ExpressやRAID関係の性能強化が図られている

 これに続くのがAvotonとRangeleyで、こちらはBay Trail同様に新しいマイクロアーキテクチャーのAtomコアを搭載する。現在のCentertonは、S12x0シリーズが汎用、S12x9シリーズがNASやネットワーク機器向けとなるが、これを継承してS12x0シリーズの後継となるAvotonがいわゆる汎用向けで、S12x9シリーズ後継となるRangeleyがネットワークやNAS向けにI/Oを強化した製品となるようだ。

AvotonとRangeleyの概要。すでにサンプル出荷が始まっているので、6月のCOMPUTEX TAIPEIではこれを搭載した試作品をどこかのメーカーが出展しても不思議ではない

 ちなみに、この先のロードマップとして2014年以降には14nm製品も投入されることが明らかにされている。

“2014+”とあるところがミソで、ひょっとすると2015年以降の可能性もまだ残されているわけだ

 さて、IDFでの情報を2回にわたってお届けしてきた。次回はこれらの情報も含めつつ、インテルのロードマップをアップデートしたい。

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