ヘッドフォンの主流はBluetoothになる?
さて、最後は人気急上昇中のヘッドフォンだ。ヘッドフォン自体はスピーカーと同様に基本は枯れに枯れた技術だから、素材の改良などで細かく進化は続くが、逆に大きな変化は期待しにくい。
Bluetoothなどのワイヤレス伝送の普及には期待したいところ。音質と難しいペアリング操作、バッテリーなどの問題さえ改善できれば、ワイヤレスの方が使いやすいからだ。音質に関してはデノンの「AH-NCW500」のように、AACやapt-xといった高音質コーデックに対応するもの増えてきた(関連記事)。
後は、非圧縮またはロスレス圧縮が可能なコーデックにも対応できるようになれば、音質にこだわる人も納得だろう。
また、ペアリングのしやすさについても進化している。ソニーの「MDR-1RBT」(関連記事)などでは、NFCを利用したペアリングが可能で、NFCまたはおサイフケータイ(モバイルFeliCa)対応のスマホを近づけるだけでペアリングが完了する(おサイフケータイ対応機の場合は、スマホ側にNFC機能を有効にするための専用アプリの導入が必要)。
これでもまだ難しい人には難しいのかもしれないが、Bluetoothは着実に使いやすくなっている。
「バイノーラル」に対応した
サラウンドヘッドフォンがほしい!
もうひとつ期待したいのがサラウンド再生。サラウンドヘッドフォンもソニーの「VPT」やドルビーヘッドフォンなど、疑似サラウンドながらもなかなかのサラウンド感を実現できている(関連記事)。
しかし、ヘッドフォンなのだから、やはり「バイノーラル」に対応してほしいのだ。バイノーラルは、人間の頭を模したダミーヘッドを使った録音で、人間の耳が2つだけで前後左右も高さも聞き分けるように、自分の耳で聴くのと極めて近い前後や高さの再現を可能にするもの(個人差はある)。
これだけヘッドフォンが普及しているのだから、BDソフトのサラウンド音声のひとつとして、ヘッドフォンで視聴する人向けにバイノーラルでエンコードした音声があってもいいと思うのだ。
制作スタジオのマルチチャンネルモニターの視聴位置にダミーヘッドマイクを置いて録音するだけでいい。これならば、CDなど音だけのライブレコーディングだって、バイノーラル録音のものがあってもいいと思う。
かつて、そういうソフトがあるのではないかと思って探してみたら、オーディオファンというよりも生録ファンの定番である、蒸気機関車の走行音とか、森の中の環境音などのほか、特定の女性向けにイケメン声優が耳元で甘い言葉をささやく系のバイノーラルCDがけっこう多く発売されていて驚愕した。
それも含めてこのジャンルは可能性が高いのではないかと思う。特に映画のサラウンド音声やマルチチャンネル収録の音楽ソフトについてはぜひとも検討してほしかったりする。高忠実度という点では、もっとも理想に近い形でサラウンド音声を提供する方法とも思うからだ。
今年もオーディオ&ビジュアルの世界は面白いことがいっぱい!
新年ということで、妄想を膨らませて個人的にも登場してほしい機種を数多く上げてきたが、いずれも決して不可能な妄想ではないことはわかってもらえるだろう。同様のことはメーカーでも考えていると思うので、ぜひとも期待したいところ。
今年もAVの世界が楽しみになることは間違いなし。物欲を刺激してくれる製品の数々がいっぱい出てくる1年になるだろう。