Radeon HD 8800シリーズのコアは
VenusかSunか?
問題はその下である。Radeon HD 8800シリーズという製品があるのは間違い無さそうなのだが、ここに投入されるコアにVenusと「Sun」という2種類のコアがあるという話だ。Venusは言うまでもなく、Radeon HD 8970に使うVenusのコアそのままで、これからシェーダーやらなにやらを無効化したり、動作周波数を落として製品に実装する。一方Sunの方は、Venusとは別のコアを作るという話である。
今のところ真偽は不明だが、筆者としてはSun説を推したいところだ。理由というより想像になるが、VenusはFire Proと共用の倍精度浮動小数点演算をサポートするダイで、対するSunはNVIDIAの「GK104」(GTX 680/670/660 Ti)と同じく、倍精度浮動小数点演算のハードウェアサポートを省いた、ゲームグラフィックス向けに最適化したコアではないかと考えている。
こうした方法ならばダイサイズを小型化できるし、消費電力も下がり効率も良くなるから、その分の余裕を性能改善に振り分けやすい。アーキテクチャーが違うから単純に比較しても意味はないのだが、より少ないシェーダー数とメモリー帯域にもかかわらず、ゲームの描画性能でGeForce GTX 680がRadeon HD 7970を上回るのは、32bitへの割り切りがひとつの要因と考えられる。こうした考え方をAMDが取り入れても不思議ではないので、それがSunコアではないかと想像している。
真偽はともかく、Radeon HD 8800の世代は少し遅れて、2013年5月くらいに市場投入とされている。
ミドルクラスは「Oland」コア
ローエンドは「Mars」コアを投入
その下のグレードは「Oland」コアで、これが「Radeon HD 8700」シリーズに投入される予定だ。こちらは「Pitcairn」コアの「Radeon HD 7800」シリーズの後継という位置づけとなり、製品としては「Radeon HD 8790/8770/8750」の3製品が投入されるもようだ。こちらはNVIDIAが製品に「Ti」ブランドを追加して、ラインナップを拡充したことに対する対抗と考えてよさそうだ。
ローエンドにはさらに、「Mars」というコアが用意される。昨今ではAMDもAPUを強力に推進しており、またインテルも内蔵GPU性能を急速に強化しているので、昔のような本当にローエンドな性能のGPUに対するニーズは急速に減っている。そのためローエンドとは言っても、「Bobcat」ベースの「E-300」や「E-450」は上回る程度の、GPU性能が必要になる。
このMarsは「Radeon HD 8600」から「Radeon HD 8300」までの、広い範囲で構成を変えながら展開される予定だ。しかし、今のところ全部でどれくらいの製品が登場してくるかは筆者にも見えていない。一応ロードマップ図には、Marsの中ではハイエンドにあたる「Radeon HD 8670」の推定スペックだけを記載したが、実際にはここから多数の派生型製品が投入されるだろう。
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