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ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第149回

20nm世代への移行は難航? 2012~2013年のAMD GPU

2012年05月01日 12時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/

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 今回は久々にロードマップのアップデートである。AMDのRadeon HD 7000シリーズがおおむね出揃ったので、こちらを整理して説明しよう。

GCN世代のTahiti、Pitcain、Cape Verdeを投入

2011~2012年のAMD GPUロードマップ

 AMDは2011年12月にコード名「Tahiti」こと「Radeon HD 7970」を発表。明年1月9日から発売を開始した。1月末にはこれのダウングレード版である「Radeon HD 7950」を発表。こちらはそれほど時間をおかずに流通を開始した。

Radeon HD 7970

 このRadeon HD 7000シリーズは「Southern Islands」というコード名で知られており、「GCN」(Graphics Core Next)という新アーキテクチャーを採用している。しかし、このGCNのフルセット版を搭載するのは、Radeon HD 7970とRadeon HD 7950の2製品のみ。厳密に言えば、この後登場する「Radeon HD 7990」もおそらくこのフルセット版と思われるが、それを加味しても3製品のみとなる。

 この下位グレードにあたるのが、「Pitcain」と呼ばれる「Radeon HD 6800」の後継製品と、「Cape Verde」と呼ばれる「Radeon HD 6700」シリーズの後継製品である。連載132回では、このPitcainとCape Verdeについて、「まだGCNではなくVLIW4になるのではないか?」と予測したのだが、これは大外れ。PitcainとCape VerdeもGCNを採用してきた。

 元々旧ATIは、手堅い開発をしているかと思えば結構ばくちを打つこともあり、これが時折裏目に出るといったこともあったが、AMDによる買収後はやや堅実な手を打つパターンが多くなった。Northern IslandからSouthern Islandへの移行もそのひとつで、VLIW4を実装したのはトップエンドの「Cayman」こと「Radeon HD 6970」とその派生型のみで、「Barts」以下のメインストリームは、引き続き「VLIW5」を利用するという安全策を講じていた。

 しかも、Southern Islandsではプロセスの移行(40nm→28nm)も同時に行なうから、アーキテクチャーとプロセスの両面を変更するのはトップエンドのみとなり、メインストリーム向けはプロセス変更のみで、アーキテクチャーはVLIW4を継承すると筆者は踏んだわけだ。ところが実際はあっさりとVLIW4を捨てて、ほぼすべての製品ラインでラインナップを入れ替えてしまったのは、ちょっとばかり驚きであった。PitcainとCape Verdeは、厳密に言えばTahitiとは異なるGCNを実装しているわけで、結果から言えばうまく移行できたとは言え、なかなかの掛け金の高い賭けではなかったかと思う。

 さてそのPitcainとCape Verde、先に登場したのはRadeon HD 6700シリーズの後継である、Cape Verdeベースの「Radeon HD 7770/7750」である。Radeon HD 7770/7750の発表は2012年2月で、翌3月には「Pitcain XT」ベースの「Radeon HD 7870/7850」が発表されている。これでメインストリーム向けは一段落し、後はウルトラハイエンドのRadeon HD 7990を残すのみとなった。

Radeon HD 7770

Radeon HD 7850

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