デノンが贈る、新世代ヘッドフォン+ネット対応オーディオ 第2回
MUSIC MANIACはこうして生まれた!!
DENONサウンドマネージャー米田晋氏に聞いた「音作り」の秘訣
2012年11月07日 11時00分更新
BA型のAH-C400では低域の量感をどう確保するかに苦心
―― インナーイヤー型のAH-C400の場合はどうでしょうか?
米田 AH-C400はBA(バランスドアーマチュア)ユニットを2個使うことを特徴としています。苦労したのは低域の量感ですね。解像感の高い美しい音なのですが、量感が足らず細身になってしまいがちでした。
しかもインナーイヤー型は部品点数も少なく、チューニングの余地も少ないので、苦労しましたね。フィルターや音道の形状の工夫をはじめ、亜鉛ダイキャストのハウジングは、材料や形状だけでなく厚みの違いなども試しています。
ハウジングの剛性を上げるには厚い方が有利ですが、それだと内部にパーツを収める場所も減ってしまう。そのせめぎ合いの見極めが重要になりますね。最終的にはかなり地味な部分な作業を積み重ねていくことになりました。
―― このほかに苦労した点はありますか?
米田 デザインとも関わりますが、ヘッドフォンでは装着感も重要です。ヘッドフォンは身体にくっつけて使うものですから、鑑賞時の心地よさにも大きく関わります。
オーバーヘッド型ならば耳周りの形状に合わせるために、五角形の形状を採用していますし、パッドの硬さも誰が使っても感触が良いものが理想です。
インナーイヤーの場合、例えば特殊な装着の仕方を採用してしまうと、正しく装着した場合は良くても、適当に着けたときには良さが出なくなってしまうこともあります。たくさんのお客さんに面倒な装着を強制することはできませんから、誰でも簡単に装着できて、しかもその状態で最良の音質が得られるようになるものを探すのは大変です。
―― AH-C400は、ハウジングの下のコード部分が長めになっていますが、装着してみると耳の下をホールドするようになっていて、ずれにくいし、コードが服を擦ったときのタッチノイズを遮断できるように工夫されています。これは実際に身につけてみて感心しました。
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