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西田 宗千佳のBeyond the Mobile 第96回

LaVie Z商品企画担当者インタビュー

インタビューで聞く どこまでも軽さだけを狙ったLaVie Z

2012年07月26日 12時00分更新

文● 西田 宗千佳

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 特別な構造を採るということ、そしてその構造で加工が大変な手法を採るということは、そのままコストに跳ね返る。だが、NECはあえてそこで不利と知りつつ、使い勝手と「軽さ世界一」にこだわった。それは意味のないことではない。そういうことを積み重ねないとこの軽さは生まれず、他の製品との差別化はできなかったからだ。

 重さとのトレードオフになりやすいのが、バッテリーの搭載量だ。LaVie Zの場合、バッテリー駆動時間はカタログ値で最大約8.1時間(JEITA 1.0測定法による)。これは、ネットワークを併用して利用する今のPC環境では、そう長いわけではない。Ultrabookの中にはもっと長いものもある。だが、薄さと軽さを考えると、LaVie Zにこれ以上大容量のバッテリーを積むわけにはいかなかった、というところだろう。

 その一方で用意したのが「急速充電」という考え方だ。ACアダプターを65W出力のものにし、80%の容量までを1時間で、残りの20%を1時間で充電する形にした。

LaVie Zの付属ACアダプター。急速充電により、休憩時間の短い間でもある程度バッテリーを充電できる

中井「例えば午前中にバッテリーで使い、昼食中に充電しておくと、午後の活動開始までには8割が充電できている……という想定です。バッテリーに関して『どこがベストなバランスなのか』は、今後も考えていかなければいけないと思います」

「バッテリーに関して『どこがベストなバランスなのか』は、今後も考えていかなければいけない」(中井氏)

 LaVie Zは軽さを軸にした商品だ。軽さがゆえに捨てた部分がある。だが性能は十分に高く、数年前のように「軽さを重視するとパソコンとしての快適さは失われる」ということはなくなった。ディスプレーの性能や各種インターフェースなど、バランスの面でも、マイナス面は少ない。

 パソコンには個性が必要だ。だが、低価格化とワールドワイドモデルの増加にともない、「個性」の方向性が画一化していたのは否めない。軽量化という個性によって、LaVie Zは特別なパソコンになった。

 やはり「見たら笑みが出る」製品が出てこないと、この世界は元気にならない。そんな期待を持てるパソコンのひとつといえそうだ。

お勧めする人
・薄型で軽量なノートパソコンを求めている人
・人に自慢できるパソコンが欲しい人
LaVie Zシリーズの主な仕様
CPU Core i7-3517U(1.90GHz) Core i5-3317U(1.70GHz)
メモリー 4GB
グラフィックス CPU内蔵
ディスプレー 13.3型 1600×900ドット
ストレージ SSD 256GB SSD 128GB
無線通信機能 IEEE 802.11a/b/g/n、Bluetooth 4.0
インターフェース USB 3.0×1 USB 2.0×1、SDメモリーカードスロット、HDMI出力など
サイズ 幅313×奥行き209×高さ14.9mm
質量 約875g
バッテリー駆動時間 約8.1時間
OS Windows 7 Home Premium SP1 64bit版
予想実売価格 16万5000円前後 13万5000円前後
発売予定日 8月23日

筆者紹介─西田 宗千佳

1971年福井県生まれ。フリージャーナリスト。得意ジャンルは、パソコン・デジタルAV・家電、そしてネットワーク関連など「電気かデータが流れるもの全般」。主に取材記事と個人向け解説記事を担当。朝日新聞、読売新聞、アエラ、週刊東洋経済、月刊宝島、YOMIURI PC、AVWatch、マイコミジャーナルなどに寄稿するほか、テレビ番組・雑誌などの監修も手がける。近著に「電子書籍革命の真実 未来の本 本のミライ」(エンターブレイン)、「災害時ケータイ&ネット活用BOOK」(共著、朝日新聞出版)、「形なきモノを売る時代 タブレット・スマートフォンが変える勝ち組、負け組」(エンターブレイン)、「リアルタイムレポート デジタル教科書のゆくえ」(TAC出版)、「スマートテレビ スマートフォン、タブレットの次の戦場」(アスキー・メディアワークス)。最新刊は「漂流するソニーのDNA プレイステーションで世界と戦った男たち」(講談社)。

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