通気性重視と静音性重視、どちらにも進化できる
550Dで通気性を確保するには、フロント、天井および左サイドパネルの通気孔を覆うカバーを外し、必要に応じてファンを追加するだけ。550Dでは、この3方向の通気性を自在に調整できるという点がユニークだ。フロントを全部閉めきってノイズ漏れを最小限にする一方で、左サイドから吸気し天井排気という冷却方法も選択できるのは、550Dならではの芸当だ。
天井部分のカバーを外すと、中には120または140mmファンを2基固定可能なファン穴が出現。もちろんカバー裏には吸音スポンジ、その下にはエアフィルターが標準装備だ
左サイドパネルにも大きなカバーがあり、ここの下にも2基のファンを固定することができる。ハイエンドのビデオカードを使わないかぎり側面の吸気穴の活躍機会はないが、後で冷却を強化したいときに穴がないと困る。カバーで使わない穴を封鎖できる550Dの設計は実に合理的なのだ
背面のファンは標準で120mmのものが採用されているが、穴そのものは140mmファンにも対応する。天井を塞いだまま排気力を上げたいならファンを交換するのもいい手だ
底面には電源と吸気ファン用の穴があるが、ここをホコリの侵入から守るのは最近のPCケースのトレンド。550Dでも簡単に洗浄できるフィルタが装備されている
最後に拡張性やメンテナンス性をチェックしてみよう。静音性と冷却力のバランスに力を注いでいるせいか、内部の構造は実に無難だ。内部は300mm級のビデオカードも余裕で入る広さがあるが、自社で簡易水冷ユニットを出しているだけあって、ケース天井部分に同社製水冷クーラー「CWCH100」のような2連ファンタイプのラジエーターを固定できる設計になっている。
欠点らしい欠点といえば、裏配線用のスペースが10mm程度しかないため、太めのケーブルだと右サイドパネルを閉じるのに苦労すること程度。デザインも渋く、パーツの収容能力もそこそこ高いPCケースを探しているなら、ぜひとも検討してほしい製品だ。
ATXマザーとHD7970を2枚詰めてもこの余裕。ビデオカード用の空間は約320mmといったところだ
シャドウベイは全部トレイ式で、HDDはドライバーレスで固定できる。2.5インチ用の穴を使う場合は、各ドライブをネジ留めして使うタイプだ。トレイの素材は柔軟性があり、しならせてHDDにはめるタイプとしてはかなり装着しやすい
特集で使用したPCパーツ
今回の特集で使用した主なパーツは以下のとおりだ。PCケースの有効スペースを検証するために、最新かつサイズの大きい製品をチョイスしている。
Z77チップセットを搭載した、ASUSTeK製ATXマザーボード「Maximus V Formula」。ゲーマー/オーバークロッカー向けのR.O.G.シリーズに属するハイエンド製品で、2-way SLIと3-way CrossFireXをサポートしている。VRM部は水冷にも対応。想定売価は3万6000円前後で、8月頃発売予定だ;
Radeon HD 7970を搭載した、ASUSTeK製ビデオカード「Radeon HD 7970 DirectCU II TOP」。12フェーズのオリジナル基板と、3スロット厚のオリジナルクーラーを搭載したモデルで、クロックが925MHz/5500MHzから1000MHz/5600MHzまで上げられている。カード長は約275mm
自作PC用のCPUクーラーとしては世界で初めてバーティカルベイパーチャンバー(蒸気管)を搭載した、CoolerMaster製のCPUクーラー「TPC 812」。クーラーの全高は163mm。実売価格は8980円前後
容量3TBのWestenDigital製3.5インチHDD「WD30EZRX」
容量256GBのSamsung製SSD「Samsung SSD 830」