Nokiaが抜けたMeeGoはTizenに移行
Android以外のOSも確保するSamsung
SamsungはIntelとともに、設立当初からTizenプロジェクトを主導している。正式版リリースの後にサンフランシスコで開催された「Tizen Developer Conference」では、デモにSamsungが開発した開発向けプロトタイプ機が使われていたようだ。Tizen動向を紹介するブログ(http://tizentalk.com/2012/05/tizen-developer-smartphone-device-spotted/)でスペック情報とともに写真が掲載されている(チップはIntel製ではなく、ARMコアのようだ)。
SamsungはAndroidと並行して自社開発のOS「Bada」にも取り組んでおり、Badaラインは「WAVE」ブランドで展開している。これまでWAVEは、GALAXYの機能を一歩遅れて取り込みながら、価格帯を低くして展開してきた。
スマートフォンに興味があるミッドレンジ層に訴求しており、フランスなどSamsungが強い地域では7~9%程度のシェアを持ち、Badaのアプリストアからのダウンロードも1億回に達しているといわれている。SamsungはCESでBadaとTizenの統合計画を明らかにしており、Tizenベースの端末を年内に1~2台出すとしている。
もう1つが、やはり5月前半に発表したmSpotの買収だ。mSpotはクラウド音楽サービスでPC上のWebアプリとモバイルアプリの両方で利用できる。audiogalaxyやAmazonの「Cloud Player」と同じようなサービスで、自分の音楽カタログをクラウド上にあるストレージにアップロードし、端末でストリーミング再生できるというものだ。5GBまでは無料、それを超えると月額料金が発生する。
Samsungは今後、mSpotを自社端末(スマートフォンとタブレット)に統合すると述べており、端末の差別化とする狙いのようだ。これまでApple対抗にあたって画面やカメラなどのハードウェア、使い勝手などを改善してきたが、mSpotの買収はSamsungがコンテンツ分野への拡大を考えていると見ることができる。SamsungはソニーやAppleと違ってコンテンツを持っておらず、コンテンツサービスの統合はモバイルにとどまらない家電メーカーのマルチスクリーン戦略トレンドに沿うようにみえる。
筆者紹介──末岡洋子
フリーランスライター。アットマーク・アイティの記者を経てフリーに。欧州のICT事情に明るく、モバイルのほかオープンソースやデジタル規制動向などもウォッチしている
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