天才猫とBD少女 第6回
大切な録画データはBDに焼いてアーカイブすべし(後編)
BDケースのジャケットやラベル印刷にこだわれば、アーカイブがもっと楽しくなる
2012年03月30日 23時00分更新
ディスクも凝ってみよう
「パッケージだけじゃなくて、ディスクの表面にも文字を書いたり印刷することができるニャ」
「ああ、トモちゃんも前に手書きでやってたなー……(関連記事)】」
「手書きでももちろんOKだけど、プリンタブル・ディスクに直接印刷できるインクジェットプリンターも売っているよ。これを使って、ディスクに印刷することもできるニャ! 故障することもあるからシールとかは貼らないほうがいいね。」
「おー、ディスクに写真やロゴが入るとだいぶ本格的に見えるね」
「だニャ! これでめでたく永久保存版の完成だニャ!」
***
トモちゃんが作った『猫番組セレクション』のパッケージはなかなか立派なものだった。
表紙には可愛らしい猫の写真(僕でないのが不満だが内容上それは致し方なしとする)とロゴが配置され、背表紙にはタイトル、裏にはディスクの内容がまとめられている。
「うんうん、我ながらよくできた」
トモちゃんはそれを市販の映画BDと一緒に並べて悦に入っている。 僕はそんなトモちゃんを眺めてちょっと寂しい気分になっていた。トモちゃんがスキルを身につけて成長していくのは嬉しいけど、なんだか落ち着かないような……。
そして翌日、部屋にはトモちゃんの聞き慣れた声が響いていた。
「急がないと遅刻する! ……そうだ、レンタルビデオ今日までに返さないと延滞料金取られるんだったっ」
トモちゃんは机の上のBDのトールケースもバッグに放り込んで飛び出して行こうとする。
僕はその足に飛びつき、にゃーにゃー鳴いてトモちゃんを止めた。
「カフカごめんね、急いでるからそこどいて……あっ」
僕は机の上に飛び乗り、置かれていたトールケースをぺいっと蹴って床にはたき落とした。かしゃんと音を立てて床に落ちたそれをトモちゃんは慌てて拾おうとして、顔色を変える。
「借りたBDはこっちだった! うわあ、自分で作ったディスク持っていくところだったよ……」
同じ青いケースなものだから、見間違えたみたいだ。トモちゃんは慌てて鞄の中身を入れ替えた。ふう、ぎりぎりセーフ。
『猫セレクション』を返却されてはレンタルビデオ屋さんも困るだろう。なにしろテレビ番組の録画は個人範囲での利用しか認められていない。レンタルビデオの場合はまた別のライセンス制度があるのだ! ……とガイアに囁かれた友達の大五郎君が言ってた。
今度こそばたばたと部屋から飛び出していくトモちゃんを見送りつつ、僕は 「ああ、これでこそトモちゃんだよな」とちょっと安心した気分になったのだった。
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