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Microsoftが若きエンジニアをサポートする理由 第1回

Googleマップ上で、みんなの盛り上がり度が分かる「気持ちボタン」

起業で世界とつながりたい──Crisp佐貫氏

2012年03月30日 11時00分更新

文● 編集部、語り●佐貫 僚、遠藤 諭、写真●小林 伸

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外資系ベンチャーの立ち上げに参画し、悪戦苦闘

遠藤 「そして外資系ベンチャーに入社して、サイトの立ち上げに加わったわけですね」

佐貫 「はい……。そこはインターネット通販をする会社だったんですが、オフィスに行ったら、ガランとした空間に配線がピロっと飛び出してるような状態でとても驚きました」

遠藤 「IT系で伸び盛りのところではよくある光景だよね」

佐貫 「で、ここで何すりゃいいんだろうかって聞いたら、何でも=Just do it!とか言われるわけです。何だろうこれ、不思議なトコだなと思う一方で、こんなところに入って大丈夫なのかな……という不安も感じたりして。

 とはいえ、血が騒いだので飛び込んでみました。仕入れのマネージャーを担当したんですが、それからは文字通り不眠不休という感じでしたね。社内には目利きのバイヤーがいるんですが──」

遠藤 「それを若くして束ねていた、と?」

佐貫 「いえ。どちらかというとオペレーションを作る感じですね。行ってみたら立ち上げたばかりの会社で、何にもない状態。オペレーションを動かすメンバーもオロオロしてるんです。仕事の手順が決まってないし、どうしたら良いのかも分からない。でも、とりあえずマネージャーだから束ねろ。とりあえず今日何をするかだけでも決めろと。しょうがないので、業務フローをイチから作って、帳票を作り、仕組みを作って……という感じで。仕事が回ってないとか、問屋から文句を言われているとか、そういうトラブルにも全部対応をして……」

遠藤 「そういうの、やったことなかったわけですよねえ?」

佐貫 「いいえ。コンサル会社の中でそれに近い仕事をやっていたので、多少は分かっていたつもりですし、システムの要件定義なんかもやったことはあったのですが……。例えば契約社員さんは、午後6時には帰さないといけないわけです。となるとその後に手を動かすのは自分です。最後は自分でやらないとダメ。

 つまりコンサルと違って、作った仕組みがいまいちだと、そのまま自分に跳ね返ってくるわけですね。システムのボタンをポチポチ押して、エラーが起こったら倉庫に靴が積み上がって怒られる。そんな毎日を繰り返していました」

遠藤 「そんな経験の末、サイトが立ち上がったわけですね。どのぐらいやったの?」

佐貫 「短いですよ。半年くらいじゃないですかね。でも続けている中で、やっぱりスマホのビジネスをやりたいとウズウズして来てしまったんですよ。で、やってしまおうと思って会社を作ることにしました」

遠藤 「うずうずしてね。辞めてすぐに始めたわけですか?」

佐貫 「(苦笑) そうですね。アイデアはあったんですが、最初は書籍のキュレーションビジネスをやろうと思ってたんです。もともと学者だったし、いろんな分野の研究者を集めて“社会学の本ならこの10冊”とか“ロシア文学だったらこれ”だとか……そういうのをやろうと思ってたんです。自分も好きだし、面白いかなぁと。

 ただやっぱりその……いろいろプランを持ちながら辞めるんですけど、実際検討して詰めてくと、なかなか難しかったりするんですよね。ほんとに儲かるの? とか。それに会社をやめて完全な自由人状態になると、ビジネスのアイデアってどんどん出てくるんですよ」

いろいろなことを体験した半年間

遠藤 「自由人に1回なったんだ」

佐貫 「そうです。自由人を半年くらい経験しました。なぜかテニスの記者をやってたりとか、友達のやってるマーケティングコンサルの会社の立ち上げを手伝ってみたりだとか、いろんなことしてましたね」

遠藤 「へぇー、半年の間に?」

佐貫 「そうですね。会社を作るまでの勉強期間も兼ねて。もともと自分はプログラマーではないのですが、やっぱりアプリを作ってみたいという思いがあったので、アプリの自作なんかもしてみました。そのときに作ったのが『ロケジュール』というものなんです。

 3タップで、待ち合わせ場所を知人に送れるアプリなんですけど、例えば飲んでいるときに、電話でいちいち場所を伝えるのは面倒ですよね。そこの信号を右に曲がって、そのあと左とか……。だったらちょっと作ってみようかなって。

 Googleのデータベースからお店の情報を取って来て、メールしたりブックマークしたり、カレンダー登録したり、ツイートしたりできるアプリなんですけどね。リリースした去年の7月の段階では、まだGoogle APIを叩いて結果を出すアプリが少なかったんです」

遠藤 「いまユーザー数はどのぐらい?」

佐貫 「1万弱程度です」

遠藤 「かなりの数だね」

佐貫 「そろそろ1万人が見えてきたなっていうあたりで、サポート用のアドレスにメールが1本飛んできたんです。株式会社デンソー……ああ『デンソーだ!』と思いながら、驚きながら読んだら、連携して何かできないかってお誘いだったんですよ。

 これはラッキーだと思って、調子がいいもんですから、とりあえず資料をまとめて営業しに行きました。そこで『アプリを共同で企画しませんか』とか『コンサルもできますよ』と持ちかけて、結果として『ひとまず機能連携してみましょう』という話がまとまったんですね。現在では右上のボタンを押すとカーナビに目的地登録できる機能が付いています。

 カーナビのUIはすごく大変な面があって、慣れていないとタッチパネルで目的地を指定するのに5分近くかかってしまうこともある。それをボタンひとつで済むようにしたわけなんですね」

遠藤 「カーナビとスマートフォンはどんな風につながるのですか?」

佐貫 「Bluetoothです。マップコードにも対応したので、Gコードみたいに番号を入れてカーナビに登録するといったこともできます」

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