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作品データが売れる「Gumroad」、プロ作家から見たらどうなんだ

2012年02月25日 12時00分更新

文● 四本淑三  語り● 寺田克也(イラストレーター)

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「これで儲かるんじゃないの?」っていうゴールドラッシュ的なもの

―― この種のサービスが流行り始めたのは何だと思います?

寺田 楽ってところでしょうね、上げるのも入金も、買う方もある程度楽。何かハードルが一個下がると、それまでの感覚がガラっと変わるじゃない。

―― ただ、Gumroadって日本以外での盛り上がりを感じないんですが。

寺田 Facebookもまったく反応ないからね。「これはいいアイディアだ!」みたいな反応すらないしね。検索してもGumroadについて話しているのは日本人だったりするし。

―― 何でだと思います?

寺田 やっぱ日本にはオタク絵師が多いからじゃないですか。自分の絵がお金になるというのは、インターネットに昔からある都市伝説のようなもので。「これで儲かるんじゃないの?」っていうゴールドラッシュ的なもの。それで皆、浮き足立ったと思うんですよ。

(寺田註: このゴールドラッシュ的なるものは、絵に限らずインターネットそのものにあるもののことです。念のため)

―― ひょっとしたら日本人が先見性を持っていて、という話かも知れないですけど、良く言えば。

寺田 まあ、画質や音質をうるさく言わなければ、大抵のものがタダで手に入るというこの世の中でね、お金を払うという意味が難しいよね。Gumroadみたいなものが出てきたのは、そういうものにもお金を払ったほうがいいのかな? という感覚が、ちょっとづつ出来てきているのかも知れない。

―― でもね、Gumroad以前にも、マイクロペイメントのサービスはいくつもあったわけですよ。たとえばPayPal for Digital Goodsとかね。

PayPal for Digital Goods。PayPalアカウントさえ持っていればマイクロペイメントが使える

寺田 そういうのは面倒くさかったってことでしょう? HDDレコーダーが出た時に、オレはいち早く買いまして、友達にメチャメチャ便利なんだよ!って言うんだけど「ビデオでいーじゃん」って言われる。そこから一般に普及するまで7年くらいかかったから。iPodも然りだけど。

―― そう言えば、iPodも最初から爆発的なヒットにはならなかったですねえ。

寺田 でも便利さが伝わるとガラっと変わるでしょ。大事なのは便利にするアイディアだったりするから、Gumroadもそうだと思うんですよ。認証して、住所入れてっていう面倒な作業がなくて「これ、ひょっとしてすぐ儲かる?」ってところへ印象的につながっていく。

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