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四本淑三の「ミュージック・ギークス!」 第52回

「これでやっていける」 配信音楽、一年目の手ごたえ

2011年04月09日 12時00分更新

文● 四本淑三

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 自ら作った曲を、自らインターネットで売り、自ら著作権も管理する。そうした方法でネットを中心に活動する宅録音楽家・まつきあゆむ。われわれが取材したのはちょうど一年前。彼はあれからどういう音楽生活を送ってきたのだろう?

 彼は、2010年1月1日に最初の自主配信アルバム「1億年レコード」をリリース。TwitterやUstreamを使った公開録音などで、一躍時の人となった。その一年後、2010年大晦日に「あなたの人生の物語」をリリースしている。どちらもネットで購入手続きを取ると、本人がメールでダウンロード用のURLとパスワードを送ってくるという、実にプリミティブな販売方法が採られている。それは今でも変わらない。

 彼の試みは成功したのだろうか? 成功したとすれば、次はどこに踏み出そうとしているのか。前回同様、ご自宅にお邪魔しての取材となった。前回と違うのは、彼の自宅が引っ越したこと。そして3.11以降であることだ。


バイトをせずに音楽ができる

―― さて、何から話しましょうか。

まつき そうですよねえ。僕もすごく答えづらいです。

―― どうでもいいけど、前の部屋とレイアウトが同じですね。

まつき でも、少し広くなったじゃないですか。それにここね、隣に人がいないんです。

―― じゃあ前みたいに録音している最中に怒鳴り込まれたりしない?

まつき それで時々ブルーになったりして。それが解消されただけでも、僕にとっては重要なんですよ。それはプロの音楽家がレコーディングスタジオのあるところに越したのと同じことですから。ってプロの音楽家って俺もそうなんだけど。

―― ははは。じゃあもう音楽で食えてる?

まつき はい。2009年までの僕の生活だったら、引越ししようと思ったら、音楽をやらずに必死にバイトしなければならなかったんですが、今は自分のためにも仕事のためにもなるから越そう、とすぐ決断できる。それに引越し一段落したから、温泉にでも行くかみたいなこともできたし。あ、でも、そんなに稼いではいませんが。ここは強調しておいてほしいんですけど……おっと、揺れてますね。


(取材中に余震が来る。カタカタと音を立てて机などが揺れる)


―― これはデカいかも。(iPhoneを見ながら)震源は茨城県南部。近いですね。

まつき 大丈夫かな。僕、実家が取手なので。もう収まってきたかな?

―― やっぱり地震の話はせざるを得ないですね。

(次のページに続く)

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