Tegra 3で新生したAndroidタブ Eee Pad TF201の実力は?
2012年02月09日 12時00分更新
実はTF201では、Tegra 3による省電力化のほかにも、「PRISM Display Technology」と呼ばれる、ASUS独自機能によるディスプレーまわりの省電力化が図られている。今回のテストでは、これらの機能が有効になる「省電力モード」に設定した上で、ディスプレー輝度を「自動調光」に設定して使用している。そのため、TF101とまったく同じ条件ではないが、ユーザーの利用シーンに即した設定だと考えている。バッテリー駆動時間の面でかなり優れた値が出ているのは、これらの省電力機能がきちんと働いている結果だろう。
特筆すべきは、これらの設定がとにかく簡単ということだ。パソコンのようにキーボードから切り替えられるわけではないが、Androidの通知領域をタップして、目的のアイコンをタップするだけでいい。この種の「ノートパソコン的作り込み」がAndroidのタブレットでも生きてきたかと思うと感慨深い。
モバイルノートとしての完成度が高まった
ちょっとだけ気になったのは、タブレット部とモバイルキーボードドックをつなぐコネクター部のカバーが、すべて取り外し式であったことだ。どれもごく小さなものなので、ふとした拍子になくしてしまいそうだ。モバイルキーボードドックを常につけて使うと割り切るなら、箱にでもしまっておけばいいが、そうでないとちょっと気になる。コストはあがるだろうが、ここはシャッター式などの「なくならない構造」にしてほしかった。
逆にいえば、ハード的に気になったのはそのくらい。現状のAndroidタブレットで、3GなどのWAN系内蔵にこだわらないのであれば、もっとも完成度の高い1台と言える。
他方、今回テストしたモデルは内蔵フラッシュメモリーが64GBと多いためか、価格が6万9800円と少々高い。7日に発表された32GBモデルなら1万円安くなるので、内蔵ストレージに音楽や動画を詰め込もうと思わないなら、そちらの方がいいかもしれない。
ただこれはTF101の時にも感じたが、「Windowsが動作するパソコン」にこだわるのでなければ、TF201は価格でワンランク高いUltrabookと、同等の完成度があると感じる。アプリの有無やワークフローなどを考えると、誰もがパソコンと入れ替えられる性質のものではないが、「完成度の高いモバイルノート」として、この製品を選ぶという選択肢はある。あくまで、「Androidでも仕事はできる」という人にはだが、そういう人はそう多くないだろう。「仕事はしないけど、タイプでストレスを貯めたくない」人のためのモバイル機器としてお勧めだ。
- お勧めする人
- ・低価格でも、長時間使える「ネット端末」を探している人
- ・Androidを「ビジネスツール」として使いたい人
Eee Pad TF201の主な仕様 | |
---|---|
CPU | Tegra 3 |
メモリー | 1GB |
グラフィックス | CPU内蔵 |
ディスプレー | 10.1型ワイド 1280×800ドット |
ストレージ | 内蔵フラッシュメモリー 64GB |
無線通信機能 | IEEE 802.11b/g/n、Bluetooth 2.1 |
インターフェース | タブレット:micro HDMI出力、カードリーダー(microSD/SDHC対応)、マイク/ヘッドホン兼用ジャック ドック:USB 2.0×1、カードリーダー(SD/SDHC/MMC対応) |
サイズ | タブレット:幅263×奥行き180.8×高さ8.3mm ドッキング状態:幅263×奥行き180.8×高さ19.4mm |
質量 | タブレット:約586g、ドッキング状態:約1.1kg |
バッテリー駆動時間 | タブレット:約12時間、ドッキング状態:約18時間 |
OS | Android 3.2.1 |
価格 | 6万9800円 |
筆者紹介─西田 宗千佳
1971年福井県生まれ。フリージャーナリスト。得意ジャンルは、パソコン・デジタルAV・家電、そしてネットワーク関連など「電気かデータが流れるもの全般」。主に取材記事と個人向け解説記事を担当。朝日新聞、読売新聞、アエラ、週刊東洋経済、月刊宝島、YOMIURI PC、AVWatch、マイコミジャーナルなどに寄稿するほか、テレビ番組・雑誌などの監修も手がける。近著に、「iPad vs.キンドル」(エンターブレイン)、「メイドインジャパンとiPad、どこが違う? 世界で勝てるデジタル家電」(朝日新聞出版)、「知らないとヤバイ! クラウドとプラットフォームでいま何が起きているのか?」(共著、徳間書店)。「電子書籍革命の真実 未来の本 本のミライ」(エンターブレイン)、「災害時ケータイ&ネット活用BOOK」(共著、朝日新聞出版)、「形なきモノを売る時代 タブレット・スマートフォンが変える勝ち組、負け組」(エンターブレイン)。最新刊は「リアルタイムレポート デジタル教科書のゆくえ」(TAC出版)。
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