オンラインでの価格競争が勃発
その裏でスマートフォンやタブレットが売れている!?
昨年もPCがよく売れた。調査会社IDCによれば、2011年の中国でのPC出荷台数は7240万台と米国の7340万台に迫り、2012年には米国市場を抜き去るとしている。
PCのトレンドではSandy BridgeのノートPCが今年登場したばかりにも関わらず、10月の国慶節商戦には3500元(約4万3000円)、年末商戦には3000元(約3万5000円)を割り込み、PC関連の話題をさらっていった。
とはいえ、筆者がいる内陸の都市ですら、すでにPCは必要な家庭に届いた感があり、PCパーツショップが多く入る電脳街に在りし日の活気はない。さらに周辺の農村部の町々にPCや家電が普及していくと言われているが、そうした町をいくつか訪問した限りでは、活況を呈しているようにも見えない。
「ラオックス」や「パイオニア」のテレビブランド買収でも話題となった「蘇寧電器」や「国美電器」などの家電量販店は進出していて、ちょろちょろと人が入っている程度だ。
脱線するが、去年個人的に一番驚いたのはベトナム・ホーチミンシティの元気すぎる家電量販店であり、電脳街であった。以前当連載でベトナムの携帯電話・スマートフォン事情を紹介したが、PC売り場の熱気はそれ以上だった。
それでも蘇寧電器は沈まずに頑張っている。オンラインショッピングサイト「蘇寧易購」に本腰を入れ、オンラインでは家電だけでなく書籍にも事業を拡大し、企業対個人のオンラインショッピングサイトとしてユニークビューアーベースで上位に入った。デジタル製品は真っ先にリアルで売れなくなり、オンラインでの価格競争に突入したのである。
そこで統計を見てみると、確かにオンラインショッピングサイトでの販売額は右肩上がりだったが、7月~9月には初めて販売額が下がる結果となっている(易観国際:Analysys International調べ)。
ただ、筆者が肌で感じた印象としては、購入意欲に歯止めがかかっているとは到底思えない。売れているのにトータルの市場規模が下がっている、これは単価がノートPCより安い、スマートフォンやタブレットを購入していると考えると納得できる。
実際、去年は年始にSymbian OS採用のNokia製QWERTYキーボード搭載スマートフォンが売れたと思いきや、年の後半はスマートフォンといえばAndroid搭載のものばかりを街中で見るようになった。
スマートフォンほどではないが、Android搭載タブレットを持っているユーザーも見かけるようになった。これにはオンラインショッピングサイトを中心に売れていることに加え、中国移動(ChinaMobile)をはじめ各キャリアが「2年縛りプランで中国メーカー製Androidスマートフォンを激安価格で販売している」ことも影響していると思われる。
昨年の年始から9月までのタブレット販売台数は右肩上がりの405万台。一方で電子ブックリーダーは値段は下落しているものの人気はなく、販売台数は四半期ごとに微減し、91万台(いずれも易観国際調べ)となっている。
2010年後半(2億1000万人)からモバイルインターネットユーザーは倍増し、9月末の段階で4億人に達した。今年は3G利用者が1億ユーザーを突破。つまり大多数は「屋外でGSM+屋内で無線LAN」の利用が一般的だが、今年はキャリア各社の通信費改定により3G利用者がぐっと増えるかもしれない。
この連載の記事
-
第204回
トピックス
必死に隠して学校にスマホ持ち込み!? 中国で人気のスマホ隠蔽グッズは水筒に鏡に弁当箱 -
第203回
トピックス
死んだ人をAIを動かすデジタル蘇生が中国で話題! 誰もが「死せる孔明生ける仲達を走らす」時代に!? -
第202回
トピックス
停滞感があった中華スマホだが、生成AIが盛り返しのきっかけになるかも -
第201回
トピックス
ようやく高齢者にスマホが普及し始めた中国 ECで爆買い、そして詐欺のカモにされることも -
第200回
トピックス
世界で台頭する新興中国ガジェットブランド総ざらい 有名になる前に知っておきたい -
第199回
トピックス
中国の寒冷地ではEVは不人気!? スマホは大丈夫? 中国の極寒環境のIT事情 -
第198回
トピックス
世界トップのIoT機器ラインアップを抱えるシャオミ でも来年にはEVに追いやられてしまうかも!? -
第197回
トピックス
中国でiPhoneがピンチ!? すぐには消えないだろうが、脱iPhoneは進むかもしれない -
第196回
トピックス
中国でシェアマッサージチェアが大量導入され、そしてトラブルあれこれ発生 -
第195回
トピックス
中国の真面目版2ちゃんねる「天涯社区」が終了 ネット文化の変化の波に呑まれる -
第194回
トピックス
光るワイヤレスイヤホンから動画ECサイトまで、元アリババの事業部長が取り組む日本での本気ビジネス - この連載の一覧へ