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年末年始の特番を録りまくる! 今買いのBDレコーダーはコレだ! 第3回

「REGZAサーバー」やプレミアムモデルなど注目モデルを買え!

2011年10月28日 12時00分更新

文● 鳥居一豊

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ホームシアターユーザーが満足できるDMR-BZT9000

DMR-BZT9000とDMR-BZT910、同じプレミアム仕様の両機だが、プロジェクターとの組み合わせで使う場合はBZT9000がオススメ

DMR-BZT9000とDMR-BZT910、同じプレミアム仕様の両機だが、プロジェクターとの組み合わせで使う場合はBZT9000がオススメ

 筆者がDMR-BZT9000の映像を見た印象を記しておこう。画質面については当然ながら1ランク上の表現力となっていることが一目でわかる。これはそれなりの実力を持った薄型テレビであれば、一般的な40V型サイズでも違いは確認できる。まず、色の再現性が単純に豊かというよりも緻密。わずかな色の違いまでも正確に描き分け、BDソフトの情報をすべて引き出しているかと思うような情報量が出てくる。

 さらに驚くのが音質だ。HDMIの映像/音声分離出力、シアターモード2を組み合わせた時の音について正直な感想を言えば、音質において肩を並べるBDレコーダーはほかにない。まさにBDプレーヤーとして使うことまで考えたモデルだ。

 音質の違いについて言えば、おそらくは薄型テレビの内蔵スピーカーでも違いがわかるレベルだと思うが、そんなのもったいない。AVアンプとスピーカーを組み合わせたシステムで聴きたい音だし、そうしたユーザーに向けたモデルだ。

 ただ、唯一の苦言を言わせてもらうならば、これだけ優れた実力を持つにも関わらず、音楽全体の印象にどこか堅苦しさや窮屈さを感じる。穿った見方だが、シャーシの剛性が高すぎ、振動を止めるというより、音を殺しているのではないだろうか? 新開発のシャーシということもあり、このあたりのチューニングにはもう少し熟成が必要かもしれない。後継モデルではぜひそのあたりのさらなる成長を期待したい。

 最後に、同じプレミアム仕様のDMR-BZT910との違いについても触れたい。こちらの場合は、主に回路技術によるチューンナップで、シャーシやオーディオ用パーツの採用などはされていない。外見も主力モデルのDMR-BZT810などとほぼ近い。

 ところが、薄型テレビでのチェックでは画質についてはわずかな差しか感じなかった。大画面のスクリーンで見比べるとディテールの密度感やわずかな色の再現性などに差を感じる程度だ。

 大きく差がついてしまったのは音質。HDMIの映像/音声分離出力、シアターモード2を組み合わせて視聴しても、その差は明確。低音の力感や伸び、中~高域の密度感や細かなニュアンス、音場の深みなど、DMR-BZT9000の後では物足りなさを感じてしまう。

 ここから考えると、プロジェクターを使ったホームシアターを使っているような人で、画質・音質ともに重視する人ならばDMR-BZT9000だが、画質優先で音質はある程度で十分という人ならばDMR-BZT910の方がお買い得だと思う(DMR-BZT810も画質についてはなかなか素性がよく、コストパフォーマンスでNo.1はこちらなのだが)。

徹底的にこだわった映像・音声処理回路を
専用シャーシに盛り込んだソニー「BDZ-AX2700」

「BDZ-AX2700」

「BDZ-AX2700」

 続いて、ソニーのハイエンドモデル「BDZ-AX2700」(実売価格20万7000円前後)だ。ソニーも従来から最上位モデルは画質・音質にこだわったモデルとしており、画質・音質ではパナソニックに負けない実力を備えている。

ボディの後部にある基板が映像・音声処理回路とチューナー部。映像・音声処理回路は本機だけの専用回路で、右上にある電源部も専用設計だ

ボディの後部にある基板が映像・音声処理回路とチューナー部。映像・音声処理回路は本機だけの専用回路で、右上にある電源部も専用設計だ

 映像関係は、BDZ-AX2700Tだけの装備である高画質回路「CREAS PRO」の搭載が大きなポイントだ。16bit処理の映像処理回路で、3D映像への対応をはじめ、マルチタップ型クロマアップサンプリング処理を採用した色純度の改善などが図られている。

 そして、画質調整項目がとても多いのも大きな特徴で、新規に「輪郭調整(中域)」と「精細感調整(中域)」が加わった。

 これがかなり効く。末尾にある(中域)というのは処理を行なう映像の周波数帯域を示すもので、すでにある「輪郭調整」や「精細感調整」は処理する帯域が高域にあるものと考えていい。映像信号の場合、細部の情報ほど周波数が高くなるので、一般的な輪郭強調や精細感の向上といったエンハンス処理は高めの周波数に処理を加えるわけだ。

 このあたりについて、細かく解説すると全然ページが足りなくなる。より突っ込んだ記事を後日掲載予定なので、今回はあまり触れないでおく。画質調整をよく使う人にとってはかなり使いこなし甲斐のある面白い機能だ。

 今回ピックアップしたいのは、新規に設計したパルス電源回路。BDレコーダーでは例外なくパルス電源が使われているが、ベテランのオーディオ好きな方ならご存じの通り、パルス電源は凶悪なノイズ発生源であり、画質にも音質にも悪影響を及ぼす。これを新設計し、徹底したノイズ対策を行なった。

専用設計の電源回路基板。トランスのノイズを低減するショートンリングの採用をはじめ、コンデンサー類なども音質を重視したカスタムメイド品を使用している

専用設計の電源回路基板。トランスのノイズを低減するショートンリングの採用をはじめ、コンデンサー類なども音質を重視したカスタムメイド品を使用している

 電源トランスをはじめとする各パーツは、いずれもノイズ低減性能の高い物を吟味して採用。特にコンデンサーは材質から吟味して新開発したカスタム品となっている。これもノイズ低減や音質を重視して開発されたものだが、最大の特徴は“パルス電源のための”カスタム品という点だ。

 いわゆるオーディオ用の電源部に使われる高音質コンデンサーはいずれもトランス電源と組み合わせる前提で開発されている。それではパルス電源にベストマッチなものがあるはずがないので、専用に開発したというわけだ。

 なお、本機はエンコーダー回路も3つ搭載するため、消費電力は比較的大きめ。そのため電源供給能力も強化されている。当然、強力な電源部は音質に効く。

付属の電源コード。こちらも太い

付属の電源コード。DMR-BZT9000同様にこちらも太い

 また、電源コードは着脱式の三極タイプのインレットを採用。付属する電源コードも同社の単品オーディオ機器に付属されているものと同じものだ。こうして、画質にも音質も悪影響を与えるパルス電源の質を抜本的に改善した。

 音質についても、従来から搭載されているジッタノイズ低減システムをリファインし、HDMI出力だけでなく同軸音声出力端子にも採用した。32bitオーディオDAC(バーブラウンのPCM5102)も採用している。

 ここでのポイントは、グランドパターンの見直し。グランド側から回路の重要な部分に回り込むノイズの混入を低減することが目的だ。音声用のクロック生成回路も電源部を強化してクロックの精度を高めている。

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