シンプルさを失った「SimpleTap」
ディスプレーサイズはもう少し大きく
1年半前に評価したX201tと、現在のX220tでは1点大きく変わっていることがある。それは、レノボのマルチタッチ対応ユーティリティー「SimpleTap」の機能だ。
SimpleTapは、指でThinkPadの操作を簡便化するユーティリティーである。例えば、画面の明るさや音量調節といったちょっとした操作も、キーボード側を使うことなく行なえる。
現在のSimpleTapは大幅にバージョンアップして、かなり高機能なものになっている。例えば登録したアプリを起動したり、検索窓を開いて情報を調べたり、よくアクセスするウェブサイトを登録しておいたり、といったことができる。要は簡易型のランチャーになっているわけだ。
こういった方向性を、筆者は必ずしも否定しない。タッチを中心に使うなら、大きなボタンを使ったランチャーのほうが使いやすいからだ。だが、SimpleTapはその名とは裏腹に、シンプルとはいえないものになってしまっている。
最初から登録されているものの半分は、要はお仕着せのリンクに過ぎず、自分でカスタマイズするにはちょっと面倒。そこまでするくらいなら、デスクトップ上やタスクバーにアイコンを並べた方がシンプルだ。SimpleTapは当初の「設定を呼び出すための機能」にとどめておいた方が、その目的に合っていたのではないか、と感じるのだ。
今後Windows 8(仮称)が登場すると、マルチタッチ機能はより標準的なものになってくるはずだ。コンバーチブル型のノートが増えるとは思わないが、タッチセンサー搭載の製品はもっともっと増えるだろう。その時、レノボが作っているこの種のユーティリティーが、OS標準機能とどう棲み分けるのかは気になるところだ。
結論になるが、X220tは重いがとても完成度の高いタブレットPCで、「Windows 8以前のコンバーチブル型」としては、ある意味完成形といえる。ビジネスにもクリエーションにも、十分力を発揮するだろう。ただ現状では、12.5型・1366×768ドットという解像度は、ちょっと狭いなと感じる。どうせ重いのだから、もう一声大きなディスプレーのモデル、例えば「ThinkPad X1」ベースのタブレットが欲しくなってくる。
- お勧めする人
- ・ノートパソコンとしての性能にこだわる人
- ・メモや文書作成向けに「タブレット機能」が欲しい人
ThinkPad X220 Tablet(評価機構成)の主な仕様 | |
---|---|
CPU | Core i5-2520M(2.50GHz) |
メモリー | 2GB |
グラフィックス | CPU内蔵 |
ディスプレー | 12.5型ワイド 1366×768ドット |
ストレージ | HDD 320GB |
無線通信機能 | IEEE 802.11a/b/g/n、WiMAX、Bluetooth 3.0 |
インターフェース | USB 2.0×2、Powered USB×1、DisplayPort出力、アナログRGB出力、ヘッドホン出力、10/100/1000BASE-T LANなど |
サイズ | 幅305×奥行き228.7×高さ27~31.3mm |
質量 | 約1.66kg |
OS | Windows 7 Professional 32bit版 |
価格 | 14万2800円から(直販価格) |
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形なきモノを売る時代 タブレット・スマートフォンが変える勝ち組、負け組 (ビジネスファミ通)西田 宗千佳(著)エンターブレイン
筆者紹介─西田 宗千佳
1971年福井県生まれ。フリージャーナリスト。得意ジャンルは、パソコン・デジタルAV・家電、そしてネットワーク関連など「電気かデータが流れるもの全般」。主に取材記事と個人向け解説記事を担当。朝日新聞、読売新聞、アエラ、週刊東洋経済、月刊宝島、YOMIURI PC、AVWatch、マイコミジャーナルなどに寄稿するほか、テレビ番組・雑誌などの監修も手がける。近著に、「iPhone仕事術!」(朝日新聞出版)、「iPad vs.キンドル」(エンターブレイン)、「メイドインジャパンとiPad、どこが違う? 世界で勝てるデジタル家電」(朝日新聞出版)、「知らないとヤバイ! クラウドとプラットフォームでいま何が起きているのか?」(共著、徳間書店)。「電子書籍革命の真実 未来の本 本のミライ」(エンターブレイン)、「災害時ケータイ&ネット活用BOOK」(共著、朝日新聞出版)。最新刊は「形なきモノを売る時代 タブレット・スマートフォンが変える勝ち組、負け組」(エンターブレイン)。
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