その代わりヒンジ部の堅牢性は相当なものだ。軸の構造がノーマル型よりも華奢なので、「まったくグラつかない」とまでは言えない。しかし、机の上で使う程度ならヒンジの違いはあまり感じないし、膝の上で使っても揺れは少ない。しっかりと意志を持って回さないと、ヒンジが動くことはなさそうだ。
ディスプレー部には、マルチタッチ(2ポイント認識)対応の静電容量式センサーと、電磁誘導ペンが併用できるセンサーの両方を搭載している。どちらのセンサーも非常に精度が高く、ずれやよれを感じることはない。ペンで文字や絵を書いたり、書類に書き込みを加えているような時には、自動的にマルチタッチセンサーがオフになる構造なので、非常に自然に使える。
静電容量式センサーだけを搭載した製品だと、やはりペンで細部を書いていくのは難しく、こうした「マルチセンサー型」の方が有利なのだろう。ディスプレー枠とパネル部はツライチになっていて、「枠」の存在をあまり気にすることなく使える。
ただ一方で、X201 Tabletとの差を感じなかったのも事実である。OS側での機能に変化がなかったこと、センサー部がほぼ完成に近づいていることなどが理由だろう。
性能は十分だが「放熱位置」には注意
パソコンとしての中身に目を向けてみよう。すでに述べたように、X220tはX220をベースとした機種。すなわちパソコンとしての中身も、ほぼX220に準ずる。
Windowsエクスペリエンスインデックスの値は「4.1」。ボトルネックは内蔵GPUという、現在のCore i系プラットフォームでは一般的な値である。今回試用したモデルはCore i5-2520M(2.50GHz)、メモリー2GBを搭載した「42962AJ」であるので、処理能力そのものではトップクラスではない。CPUにはCore i7-2620M(2.70GHz)を選択することもできるが、むしろそれよりもメモリーをがっちり増やしておきたい。
バッテリー駆動時間は、バッテリーベンチマークテスト「BBench」の計測によると、最長で約2時間27分となった。モバイルノートとしては不満な値だが、必要ならば別売の6セルバッテリーなどを併用することになるだろう。その分重くなることは覚悟せねばならない。
BBenchによるバッテリー駆動時間テスト | |
---|---|
高パフォーマンス設定 | 省電力設定 |
約1時間24分 | 約2時間27分 |
放熱はThinkPadらしくしっかり処理されている。アイドル状態ではほとんど熱を感じないし、フルパワー動作時であっても、少なくともキーボード側・パームレスト側は不快なほど熱を発することはなかった。
ただしX220tにおいて特殊なのは、ディスプレーを回転させた上で「縦に持つ可能性が高い」ことだ。その際、放熱口は上か下にくる。上に来た時はあまり問題とならないだろうが、ヒンジ部を左手で持つ(すなわち右利きの人)の場合、放熱口は下に来る。排気温はそれなりに熱い上に、ペンを使うようなアプリケーション(特にグラフィック系)は処理負荷が大きくなりやすい。1.66kgの重量を手と体(とおなか)で支えようとすると、放熱にはちょっと不快感を感じる。このあたりは機器の特質であり、運用でカバーできるところだ。利用時には少し注意が必要だろう。
この連載の記事
-
第116回
PC
「VAIO Duo 13」—革新は形だけじゃない! 変形ハイエンドモバイルに込めた思い -
第115回
PC
ソニーの本気—Haswell世代でVAIOはどう変わったか? -
第114回
PC
渾身の「dynabook KIRA V832」はどう生まれたのか? -
第113回
PC
HPの合体タブレット「ENVY x2」は、大容量プロモデルで真価を発揮! -
第112回
PC
ソニー“3度目の正直”、「Xperia Tablet Z」の完成度を探る -
第111回
PC
15インチでモバイル! 「LaVie X」の薄さに秘められた魅力 -
第110回
PC
フルHD版「XPS 13」はお買い得ウルトラブック!? -
第109回
デジタル
ThinkPad Tablet 2は「Windows 8タブレット」の決定打か? -
第108回
デジタル
今後のPCは?成長市場はどこ? レノボ2013年の戦略を聞く -
第107回
PC
Windows 8とiPadがもたらす変化 2012年のモバイルPC総集編 -
第106回
PC
Clover Trailの実力は? Windows 8版ARROWS Tabをチェック - この連載の一覧へ