7月8日〜9日、大和ハウス工業とソニーコンピュータサイエンス研究所(ソニーCSL)は、大和ハウスのショールーム「D-TEC PLAZA」(東京・水道橋)にて、家電機器をゲーム感覚で制御するシステムの公開実験を実施する(参加には申し込みが必要)。この一般公開に先駆け、7月7日にプレスや関係者に向けて実験内容を発表した。
実験内容を簡単に説明すると、スマートフォンなどの携帯端末を使い、エアコンやテレビ、Blu-rayプレーヤーなどの家電を制御するというもの。大和ハウスは同様の実験を15年前から行なっているが、これまでは端末の問題などで実現できなかった。しかし、最近は個人がスマートフォンを持ち歩くようになり、端末の問題が解決され始めた。大和ハウス工業 技術本部総合技術研究所の吉田博之氏は、「我々は住宅メーカーなので、開発できるのは住宅APIだけ。どれだけがんばっても端末や家電の開発はできませんでした」と語った。
しかし、端末の問題がクリアーになっても、「顧客にとって魅力的であるか?」という課題があった。これまでビデオデッキやエアコン、お風呂など、外出先から家電を制御できる製品はいくつか存在したが、なかなか普及していないのが実情だ。
そこで大和ハウスはソニーCSLに協力を求め、家電制御にエンターテインメント性の付加価値を付けることで広めていくことにした。それに対してソニーCSLは、家電の制御をゲーム感覚で行なうことを提案。今回公開されたシステム「Kadecot」(カデコ)を開発した。
ソニーCSLが開発したKadecot上で動く家電制御ソフトの試作第1弾は、Android用アプリ「萌家電」。これはエアコンやBlu-rayプレーヤーなどの家電が親しみやすいキャラクターに擬人化され、まるでアドベンチャーゲームのようにユーザーに話しかけてくる。ユーザーとのやり取りの結果によって、エアコンの風量が調節されたり、視聴する番組が選ばれたりする。家電によってはソフトウェアアップデートをユーザーに促したり、関連商品をネット通販で購入することもできるようだ。
ソニーCSLの大和田茂氏は、「家電は、生活や気持ちを豊かにしてくれるすばらしい機械です。そんな製品に少しでも遊び要素を取り入れたいと思って『萌家電』を開発しました。昨今は情報の“見える化”が話題になっていますが、我々が目指すのは家電の“いじれる化”です」と話した。
おもしろいのは、大和ハウスが開発した住宅APIとソニーCSLが開発したKadecotのどちらも、他の企業やユーザーに向けて情報を公開するプラットフォームとして計画が進められている点だ。両社はこのシステムの普及を第一に考えており、他の住宅・家電メーカー、ユーザーの参入がなければ一般層に普及しないことを十分に理解している。
大和ハウス・吉田氏は、「今まで家電のシステムを構築しようとすると、すべて同じメーカーの機器で統一する必要がありました。でも、それはユーザーにとっては不便ですよね? 我々は一般市民の生活が豊かになることを第一に、この計画を進めています」と話す。
このシステムが普及したら、夢のような「萌え住宅」がアチコチにできるかもしれない。帰宅してドアを開けると室内の照明がパーッと点灯し、お気に入りのキャラクターに「お帰りなさいご主人様♪」などと声をかけられれば、仕事の疲れも吹き飛んでしまうかも。早く普及させてください大和ハウス様! ソニーCSL様!