Nokiaは4月12日、同社が2月にMicrosoftとの戦略的提携を発表して初となるスマートフォン2機種を発表した。OSには「Symbian Anna」と呼ばれる最新バージョンのSymbianを採用している。Nokiaはこれと時期を合わせて、Symbianを含む今後の計画ついて開発者に公開書簡を発表した。しかし、OS戦略が180度転換したNokiaに対する開発コミュニティの不信感はいまだ根強いように見える。
Nokiaは2月に、Windows Phoneを主要スマートフォンプラットフォームとすることを発表した。だからといって、すぐにNokiaからWindows Phone端末が登場するわけではない(年内という予想もあるが、Nokiaはボリューム出荷を2012年としている)。
なにしろスマートフォン市場は動きが早い。Nokiaはこの間、シェアの減少を最小限に食い止めながらWindows Phoneをローンチし、SymbianユーザーをWindows Phoneに移行させなければならない。だがNokiaが描くシナリオ通りに開発者やユーザーが動くかどうかはわからない。
Symbianの新バージョンを搭載した端末を
2機種リリース
まずはSymbianに関する新しい動きを見てみよう。
最初のニュースはNokiaのもとでのSymbianの再登場だ。Nokiaは2010年11月の方針変更により、オープンソースプロジェクトの母体としてのSymbian Foundationを閉鎖して、自社下に置くことを発表している。その後の移行作業を経て、Nokiaは4月1日に改めてSymbianを「オープンにした」と発表した。
だが、ここで一悶着が発生。“オープンでダイレクトなモデル”というあいまいな表現に加え、発表した担当者の肩書きが「Symbianスマートフォン担当オープンソース・トップ」だったこともあり、誤解を生むという指摘がオープンソースや法律の専門家から出たのだ。
Nokiaはこれを受け、3日後に同社ブログにて「(誰もが利用できる)オープンソースではなく、ビジネス向けにオープン」と正した。Nokiaはそこで、「日本のOEMや比較的小規模なプラットフォーム開発コラボレーションコミュニティと継続して作業するため」と目的を説明。オープンソース開発プロジェクトとしてSymbianを保守する意図はないことを明確にした。
そして4月12日、Nokiaは新バージョン「Symbian Anna」と、Symbian Annaを搭載した「Nokia X7」「Nokia E6」を発表した。X7はエンターテインメント向け、E6はビジネス向けとなる。Symbian Annaは、新しいアイコンやポートレートモードでのQWERTY入力、最新の写真ギャラリーなど、ユーザビリティを改善。高速なウェブブラウザー(バージョン7.3)や最新の地図サービス「Ovi Maps 3.06」なども特徴となる。すでに提供済みの「Symbian ^3」搭載機である「Nokia N8」「Nokia C7」に向けても、数ヵ月以内にアップグレード可能にするという。
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