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仮想化前提にクライアントライセンス無制限を改めてアピール

バックアップにTCO革命を起こすHP Data Protector 6.2

2011年04月07日 06時00分更新

文● 渡邉利和

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無制限のクライアントライセンス

 HP純正のバックアップソフトウェアであるHP Data Protectorは、以前からクライアントライセンス無制限というライセンス体系を採用していたそうだが、一方で「HP-UX向け」というイメージが強かったこともあって、IAサーバで広く使われているWindows/Linuxを利用しているユーザーに対するアピールは弱かったという。こうした状況を踏まえ、最新バージョンである6.2では、仮想化対応の強化などの機能強化を行なうことで、クライアントライセンス数が膨れあがりがちな仮想化環境での優位性をさらに高めることを狙っている。

HPソフトウェア・ソリューションズ統括本部 インフォメーションマネージメントソリューション事業部 事業部長 春木 菊則氏

 まず概要説明を行なった同社のHPソフトウェア・ソリューションズ統括本部 インフォメーションマネージメントソリューション事業部 事業部長の春木 菊則氏は、今回の取り組みの意気込みを端的に「バックアップソリューションにTCO革命を起こしたい」と語った。同氏は、従来のバックアップソフトウェアのライセンスモデルは「バックアップ対象となるサーバー数に応じたクライアントライセンスであったため、クラウド/仮想化時代には適さない」と指摘。一方、HP Data Protectorではバックアップ対象サーバーの数が何台であってもライセンスの増額はないため、仮想サーバを多数運用することになる仮想化環境やクラウドでは大きなメリットにつながると強調した。具体的な試算として同氏は、他社製バックアップソフトウェアを対象に定価ベースで比較した場合、3種類のアプリケーションを3台のサーバーで稼働させている環境でライセンスコストを65%削減できるという例を紹介した。

バックアップの運用コストを下げるライセンスモデル

ライセンスコストを65%削減できるという例を紹介

 クライアントライセンス無制限というライセンス体系は今回初めて導入されたわけではないということもあって、市場に対する取り組みも合わせて強化されることが発表された。

 まずは販売パートナーの大幅な拡大で、従来のシステムインテグレーションを前提とした販売チャネルに留まらず、HPハードウェアを扱うすべてのパートナーがHP Data Protectorを販売できる体制を構築するという。また、サポート体制に対しても強化が行なわれた。従来はハードウェア保守サービスとして提供されていた“CarePack”と同様のモデルでHP Data Protectorの保守メニューが提供されることになったことに加え、橫河レンタリースとはSVI(Service Integrator)契約を締結したという。これは、HPが直接提供する一次保守と同等の保守サービスを提供できる契約であり、国内での締結は横河レンタリースが第一号だという。この結果、同社は自社ユーザーに対してはワンストップでサポートを提供できる体制が実現する。

機能面での強化

 続いて、同社のHPソフトウェア・ソリューションズ統括本部 ビジネス・テクノロジ・ソリューションズ事業部 マーケティング部 マーケティングプログラムマネージャーの星野 敏彦氏が、製品の概要について紹介した。

HPソフトウェア・ソリューションズ統括本部 ビジネス・テクノロジ・ソリューションズ事業部 マーケティング部 マーケティングプログラムマネージャー 星野 敏彦氏

 6.2の機能面での特徴は、大きく「仮想化対応の強化と高度なバックアップ操作」「より簡単な運用」「シンプルなライセンス体系」の3つとなる。仮想化対応の強化としては、仮想化ソフトウェアとの連携の強化により、システムに存在する仮想マシンをもれなく把握できる。さらに、あらかじめ設定しておいたバックアップポリシーをワンクリックで適用できる「ワンクリックプロテクション」が新機能として追加されているため、運用面での省力化も実現する。また、GRE(Granular Recovery Extension)の仮想化対応が拡張され、VMware上の個別ファイルごとのリストアも可能になった。

HP Data Protector 6.2の機能面での特徴

シンプルなライセンスモデルをアピール

 また、HP Data Protectorではシステム領域を対象としたいわゆるイメージバックアップと、従来のアプリケーションデータを対象としたバックアップを統合し、両方のバックアップが可能な点を特徴としている。この面ではLinux対応も強化され、取得済みのイメージバックアップデータからシステムリカバリ用のブータブルメディア(CD/DVD/USBメモリ)を作成し、システムを再起動するだけで自動的にバックアップ取得時点のシステムイメージを完全に復元するEADR(Enhanced Automated Disaster Recovery:拡張自動障害復旧)機能が、Linuxでも利用可能になっている。

 ライセンス体系は基本となる「スターターパック使用権」がWindows版、Linux版、HP-UX/SAN版の3種類用意されている。価格(税込)は、HP Data Protector software 6.2スターターパック使用権のWindows版とLinux版が18万7950円、HP-UX/SAN版は70万3500円となる。この機能だけを利用する場合にはバックアップ対象サーバー数が何台であっても追加のコストは発生しないが、オプションとして提供される「オンラインバックアップ」は「構成ベース課金」となっており、この部分に関しては対象サーバー数に応じたライセンスが必要となる。ただ、総じてシンプルなライセンス体系が維持されていることに変わりはないという。

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