プランB
Mini-ITXマザーを使った小型PCを作る
続いてもう1パターン(プランBと呼ぶ)を考えてみよう。こちらは、小型PCを低予算の5万円で組むというのが目標だ。各スペックは下の表の通り。ポイントは低消費電力版CPUと、Mini-ITXマザーおよび専用小型ケースを採用した点だ。
まずCPUは、低消費電力がウリの「Core i5-2400S」をチョイス。クロック周波数こそ「Core i5-2400」の3.0GHzより低い2.5GHzだが、TDP(Thermal Design Power/設計上想定される最大電力)は30W低い65Wを実現。今回のようなエアフローに制限のある小型システムにはうってつけのチョイスとなる。価格も「i5-2400」とは500円程度の差しかない。どうしても高クロックじゃなければイヤだと言う人でなければ、Mini-ITXマザーとの組み合わせは、やはりTDP重視でいきたいところだ。
プランB「Mini-ITX構成」 | ||
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CPU | Intel「Core i5-2400S」 | 約1万7500円 |
マザーボード | FOXCONN「H67S」 | 約8500円 |
メモリー | DDR3-1333 4GB×2枚セット(バルク) | 約8500円 |
ストレージ | HGST「0S02600」(500GB) | 約3500円 |
光学ドライブ | LITE-ON「IHOS104-06」 | 約5000円 |
PCケース | INWIN「Wavy」 | 約8000円 |
合計金額 | 約4万9000円 |
予算制限の5万円をベースとしたプランBは、あえて小型PCに挑戦するというのが目標だが、意外にあっさりクリアできてしまう結果になった。Mini-ITXながら約1万円と安価なFOXCONN製マザーボード「H67S」と、電源一体型のINWIN製ケース「Wavy」に助けられた感はある。
マザーボード
小型PCをベースとしたプランBで採用するマザーボードは、FOXCONN製の「H67S」一択だ。原稿執筆時点で入手可能なH67チップセット採用のMini-ITXマザーは、ほかにもインテル製の「BOXDH67CF」(実売約1万4000円)と、ZOTAC製の「H67ITX-A-E」(実売約1万7500円)があるが、ともに予算オーバーだ。その中にあって「H67S」の約8500円という販売価格は、前述2モデルとのオンボードインターフェイスの違いに目をつむってでも、予算制限付きのプランBでは選択する価値がある、というかこれしかない。
マイナスポイントは、DDR3メモリスロットが2本のため実質搭載可能なメモリ容量が最大8GBまでとなるほか、USB3.0をサポートしていない点などが挙げられる。また、唯一の拡張スロットがPCIではなく“無駄に”PCI-Express x16スロットだったりするので、なかなかつぶしが効かないというのも本音である。ちなみに、グラフィック出力機能としてはHDMIとDVI-Iを各1ポート備え、DualDisplayポートは省かれている。
メモリ/ストレージ
お次はメモリとストレージ部門だ。5万円という厳しい予算のしわ寄せが出るカテゴリーながら、プランAとは異なりDDR3-1333 4GBx2枚セットを選択している点に注目していただきたい。電源/PCケース編で浮いた予算をそのまま投入した形だが、ここは64bit版OSの利用を前提に、8GBメモリをがっつりと搭載してみた。
メモリに比べて選択に変化がないストレージだが、ここは小型PCだけに容量も500GBで十分と判断。納得いかない人は余った約1000円分の予算や、メモリを4GBに減らして余剰金をこちらにつぎ込むのも悪くないだろう。
光学ドライブ
光学ドライブにはBlu-ray読み込みに対応した格安モデル、LITE-ON製「IHOS104-06」を用意した。どこのショップでも購入可能という敷居の低さと、なにより5000円で買えるという低価格さがポイントである。今回採用したPCケース(後述)が、小型筺体ながら5インチベイをしっかりと搭載しているというところも大きい。
さて、今回プランBのPCケースに採用したINWIN製「Wavy」。160W電源標準搭載で実売価格が約8000円という価格のおかげで、メモリが8GBになったり、Blu-rayドライブを搭載できたりと色々な面で貢献してくれた。まさに今回のような企画にはぴったりの製品なのだが、PCケースとしてのポテンシャルが高いという点も外せない。DVD/Blu-ray鑑賞用のようなPCとしてリビングに設置してもまったく気にならない外観デザインは、同ケースならではの特徴となる。
もちろん、他に有力候補がないわけではない。一例を挙げると、岡谷エレクトロニクスの「MX1202」は、200W電源標準搭載のMini-ITX対応ケースで、フルハイトのPCIブラケットを備えるのが特徴だ。ビデオカードや地デジチューナーカードなどを増設する場合も、わざわざLow-Profile仕様の製品を探す手間が省けるというわけだ。意外に多くの製品が販売されているMini-ITX対応ケース。それぞれ好みの製品を選択するとよいだろう。
まとめ
以上、ここまで予算5万円で組むインテル最新PCについて考察してきた。当初はかなりキツイと感じていた5万円制限だが、実際にやってみるとOS価格を考慮しないと言うこともあり、意外に簡単にできてしまった。個人的には。後者のプランB「Mini-ITXマザーを使った小型PCを作る」のほうがお気に入りだが、みなさんはいかがだろうか。
まず、5万円で組める第2世代Core iシリーズのCPUを使ったシステム一例を紹介してきたが、次回は予算を10万円まで引き上げた構成例を考えてみる。この調子なら、なかなかのスペックをもつPCが誕生しそうな予感であるが、はたしてどうなるだろうか?
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