地デジ対応スタイリッシュマシンを、お手頃価格で買う
IdeaCentre B305 (1)──超激安だけどイケてる一体型機
2010年12月10日 12時00分更新
リーズナブルな価格はAMDベースのシステムでもたらされた
さて、これだけの品質を感じさせながら、低価格をキープできた秘密は何だろうか? それはスペック表を見るとよく分かる。
コストを下げられるところは下げ、製品ポリシーとして削れない部分は削らないという非常に優れたバランス感覚で仕様が決められているのだ。
まず、パソコンの性能を決めるCPUには、デュアルコアのAMD AthlonII X2 235eを採用。このCPUは秋葉原のパーツショップなどでは5000円前後で売られているもの(原稿執筆時点)。液晶一体型パソコンのエントリー機では、インテルのCore iシリーズが利用されるケースが多いが、最安のCore i3 540(3.06GHz)でも価格は倍近くに跳ね上がる。
単に価格を抑えたいと言うのなら、同価格体のインテルのCeleron E3500 (2.7GHz)にする手もある。しかし、AthlonII X2 235eと比較して性能面での優位は少ないし、AMDにすればチップセットなどシステム全体のコストをより安価にできる。そのあたりが、AMDのシステムに落ち着いた理由ではないかと想像する。
この機体(B305)を使うユーザーにとって、アプリケーションの実行やファイルコピーなどを快適に実行するため、CPUのクロック性能は必要だ。しかし、複数コアに最適化されたソフトウェアを主に動かすわけではないので、デュアルコアでも十分に対応できる。
また、メインターゲットがゲーマーというわけでもないので、グラフィックスチップも専用のものではなく、AMD760Gチップセット内蔵のものでまかなっている。
逆にディスプレーに関しては、地デジ搭載モデルということもあり、大画面の薄型テレビと同じきめ細かさを持った、フルハイビジョンのパネルを採用。メモリーもメディアセンターなどのアプリケーションを安定動作させるため、4GBと余裕のある容量を積んでいる。
せっかくのフルHD液晶ディスプレーだから、最新のBlu-ray Discも楽しみたいところだが、本機のドライブはDVDスーパーマルチドライブになっている。これはメディアセンターが標準で録画番組のBD書き出しに対応していないためではないか。搭載によって得られるメリットとコストを天秤にかけたうえで、価格の安さを優先した結果ではないかと推察する。その意味で合理的な選択だ。
本機はこのように、ユーザーの利用スタイルをしっかりと想定し、ツボを押さえたメリハリの利いたスペック構成となっている。最新の3Dゲームなどの重量級のグラフィックス性能を必要とするソフトや、マルチコアを利用して高速に動画をエンコードする……といった用途には向かないが、ネットを見たり、テレビを見たりするには十分な性能だ。
このため、パソコンの主な利用用途が、インターネットやメール、テレビ視聴/録画などで、ハッキリしている読者にとっては、“激安だから買い!”の1台と言えるだろう。
IdeaCentre B305のここに注目
レノボの液晶一体型はA/B/Cの3シリーズで構成されているが、Bシリーズはその中間となる製品である。
その特徴は割り切り感の良さ。パソコンにとって何が必要かをよく理解したうえで選ばれたスペック構成には贅肉やオーバースペックといった言葉とは無縁のシンプルさがある。
スペックと価格を抑えた製品は一般的に初心者向けとされるが、実は初心者こそ安定したスペックが必要という側面がある点はぜひ注目してほしいポイント。性能や機能に制約があると、不安感やストレスなどの原因になりやすいからだ。
そういう意味でB305は、最初に買う1台としてもオススメ。十分な基本性能を持ち、使用感を高める上での細かな配慮も行き届いている。「この性能がこの価格で手に入るのだから、いい時代になったものだ」 そんな風にすら考えてしまう。
※レーダーチャートは、Windowsエクスペリエンスインデックスの結果および、競合機種の原稿執筆時点での平均スペックなどを基準に編集部で独自に作成したものです。製品の特徴をつかむためにご活用ください。
IdeaCentre B305 (40313DJ)の主な仕様 | |
---|---|
CPU | AMD Athlon II X2 デュアルコア・プロセッサ 235e(2.7GHz) |
チップセット | AMD 760Gチップセット |
メインメモリー(最大) | 4GB (4GB) |
メモリースロット(空き) | 2(0)/PC3-10600 DDR3 SDRAM |
HDD容量 | 500GB (3.5インチ、回転速度7200rpm) |
光学式ドライブ | DVDスーパーマルチドライブ |
ビデオチップ | チップセット内蔵(ATI Radeon HD 3000グラフィックス) |
ビデオメモリー | 最大512MB(メインメモリーと共有) |
ディスプレー | マルチタッチ対応 21.5型ワイドLED液晶パネル |
解像度 | 1920×1080ドット |
通信機能 | 10/100BASE-TX、無線LAN(IEEE 802.11b/g/n) |
インターフェース | USB 2.0×6、IEEE 1394ほか |
テレビ機能 | ○:地上デジタル |
本体サイズ | 幅526×奥行き111×高さ407mm |
重量 | 約7kg |
OS | Windows 7 Home Premium 64bit 正規版 |
Officeソフト | ──:Microsoft Office Home & Business 2010搭載モデルを別途用意 |
保証期間 | 1年間 |
価格 | オープンプライス |
次回はメディアセンターを中心として地デジの視聴について紹介する。
この連載の記事
-
第88回
デジタル
「IdeaPad U260」のベンチマークで性能をチェック -
第87回
デジタル
「IdeaPad U260」標準付属のアプリケーション -
第86回
デジタル
IdeaPad U260のウリ! 英字キーボードのうち心地は? -
第85回
デジタル
18mmの薄さで決めたい、IdeaPad U260 -
第84回
デジタル
IdeaPad S100を快適に使うツボ -
第83回
デジタル
ネットブックの本領発揮! QuickStartを使いこなす -
第82回
デジタル
Atomでどこまで戦えるか? -
第81回
デジタル
進化を続けていたネットブックIdeaPad S100 -
第80回
デジタル
H330付属の「i-フィルター」を試す -
第79回
デジタル
Lenovo H330のプレインストールソフトをチェック! -
第78回
デジタル
コンパクトでも性能十分な、Lenovo H330 - この連載の一覧へ