あのウザさは「デリカシーのない子供」発祥
── 作家としてのバックボーンを聞かせてください。井上雄彦さんの作品以外で、影響を受けた漫画ってありますか?
ミサワ 「ワンピース」ですね。
── ギャグ漫画はあまり読まれないんですか。
ミサワ 「ピュー!と吹くジャガー」とかは読んでましたけど、描きはじめてからはもう読まないようにしてます。
── 映画とかテレビドラマとか、好きな作品はありますか。
ミサワ えっ……作品? 好きな? 人が勧める映画を見るので、大体面白いです。
── この1本が心に響いたとか、そういうのはないんですか。
ミサワ 心に……えっ? 心に?
── いや、じゃあ音楽のジャンルとかは。
ミサワ J-POPが大体好きです。外人は分からない。大体メジャーなものが好きです。
── それじゃ取材旅行をされたりとか?
ミサワ しないです。どこかに行くみたいなことないです。好きじゃないことはないんですけど。理由がなかったら行かないでしょう、外。
── 楽しいじゃないですか、外出たら。
ミサワ テレビ見てるのも楽しいじゃないですか。
── テレビ大好きとか?
ミサワ そんなすごい見てるわけじゃないですけど。家でぼーっとしててもいいし。
── その低刺激な趣味から、あのシュールなギャクが生まれてくるというのが信じられないです。実は変な友だちがいて、その方をネタ元にしているとか?
ミサワ それはありますね。「こいつイラッとすんなー」というのは小中学校のときの記憶から来てます。幼稚園の頃から、子どもってデリカシーないなとか、ムカつくなとか、そういう感覚があったんです。
子どもから見る大人って、大体まともじゃないですか。でも、子どもから見る子どもってまともじゃないんですよ。「このゲームは3人用だからのび太は来ちゃダメー」みたいなことを平気でやるし、その場でバレるのに他人のうちのものを盗んだりする。そういうのに、うわって思った記憶がすごくあります。
── 漫画家になって、そんな暮らしに変化はありましたか。
ミサワ ないですね。変わると思ってたんですけどね。
── 期待はしてたんですか。
ミサワ 漫画家ってすごそうだなーと思ってましたよ。すごい生活が待ってるぞって感じだったんですけどね。どこにもなかったですね。
── あまり漫画家になったって実感はないですか。
ミサワ 中学校の頃から、やってること変わってないですからね。
── 赤塚賞を取って漫画家デビューし、ネットでも人気がうなぎ上りで、10月4日にはいよいよ初の単行本が出る。そんな現状をどう思いますか。
ミサワ 「あー、もうやめられないんだな」っていう感じです。出版社が利益を見込んで連載させたりしてるわけじゃないですか。明日から急にやめますとは言えない。自分がコントロールできないものがあるという、変な感覚ですね。
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