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末岡洋子の海外モバイルビジネス最新情勢 第6回

巻き返しなるか、Nokiaのプラットフォーム戦略

2010年07月14日 12時00分更新

文● 末岡洋子

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ハイエンドのスマートフォンで競争力を持たないNokia

 世界最大の携帯電話メーカーのNokiaは、もちろんスマートフォンでも最大手だ。だが、iPhoneの登場以来、Nokiaはヒット端末を出せず苦戦を強いられている。これまで何度か刷新を試みたNokiaだが、6月末に新しいプラットフォーム計画が明らかになった。今回は巻き返しを図るNokiaの戦略を見てみたい。

 まず始めにNokiaのスマートフォンに関する数値を見てみよう。2010年第1四半期(1~3月期)、Nokiaは世界で約2142万台のスマートフォンを出荷した。これは前年同期比56.6%増で、シェアは38.8%。第1四半期としては過去最高の出荷台数となったが、56.6%という成長率は、実は100%を上回るApple、HTC、Motorolaと比べると劣っている(英Canalys調べ)。

Maemoを搭載するNokiaのスマートフォン「Nokia N900」

 ちなみに2142万台の多くはミッドレンジ~ローエンド向けのスマートフォンで、2009年第4四半期に発売開始した最新のフラッグシップ端末「Nokia N900」は大ヒットには至っていないようだ。N900は、これまでタブレット機で用いられてきたLinuxベースの「Maemo」を初めてスマートフォンで採用したことで注目されたが、GartnerによるとN900の販売台数は最初の5ヵ月で10万台に達しなかったという(Reutersの報道による。その後Nokiaはこの内容を否定している)。一方、Appleは6月に発売したiPhone 4で発売後の3日間で170万台以上を売り上げたと報告している。

 ここ数年ハイエンドでヒット作が出ていないこと、現在のスマートフォンブームの発信源となっている北米でのシェアが少ないことなどが、スマートフォン最大手でありながら存在感が薄い原因と思われる。

 Nokiaはこれまで、市場の流れを変えようといくつかのことを試みてきた。具体的に挙げるならば、ソフトウェア・サービスの強化、スマートフォンへのフォーカスを強化するための組織再編、Yahoo!やMicrosoftとの提携などがある。プラットフォーム側では2008年にSymbian社を買収、非営利団体Symbian Foundationを立ち上げて、「Symbian OS」をオープンソースとして生まれ変わらせた。同時にMaemoでも2009年に「N900」を発表、2010年2月にはIntelの「Moblin」とマージさせて「MeeGo」として再出発することを発表した(関連記事)。

オープンソース化で再活性化を図っているSymbian

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