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西田 宗千佳のBeyond the Mobile 第44回

Core i7+マルチタッチ ThinkPad X201 Tabletの実力

2010年03月25日 12時00分更新

文● 西田 宗千佳

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 CPUにCore i7-640LM(2.13GHz)を使っているだけあって、トップパフォーマンスでの発熱はかなり大きい。膝の上で使っているとじっとりと熱さを感じる。だが、キーボードやパームレストにはあまり伝わってこないし、そもそもなかなか高負荷状態に達しないので、発熱が問題になることはないだろう。

各部の温度

各部の温度 放射温度計による測定、室温は20℃。フルパワー時はH.264エンコード中の測定

 バッテリー駆動時間は、カタログ値で最大約3.8時間、バッテリーベンチマークテスト「BBench」の計測で、最大2時間程度と長くはない。これは、テストに利用した標準搭載のバッテリーが4セルタイプであるからだろう。オプションで8セルの大容量バッテリー(価格差は7800円程度)があるため、そちらを使えば動作時間は長くなる。といっても、容量から考えると今の倍程度だから、昨今のモバイルノートと比較すると、ちょっと短めだ。

省電力設定・バックライト最低 フルパワー・バックライト最高
約2時間3分 約1時間35分
標準搭載のバッテリーは4セル

標準搭載のバッテリーは4セルなので、後ろへの飛び出しは小さい。ACアダプターはさほど大きくないので、長時間外出する場合には持ち歩いた方がいいだろう


センサー精度は十分
技ありの「Simple Tap」が楽しい

 では、X201 TabletをタブレットPCとして見るとどうだろう? X201 Tabletは、マルチタッチと電子誘導ペンの両方に対応した12.1型/1280×800ドットのディスプレーを内蔵している。サイズと解像度は特に変わったものではないが、やはり特徴はマルチタッチと電磁誘導ペンの共存ということになる。

タブレットモードではこのようにして使う

タブレットモードではこのようにして使う。標準設定では、自動的に画面が「縦」に回転するようになっているが、変更可能

 電磁誘導ペンのクオリティーは非常に高い。少なくとも、文字を中心としたメモやちょっとした絵を描くくらいならば、不満は出てこないだろう。感圧センサー型のペン入力では線がキレイに描けないが、これならまったく問題ない。サイズやコストはともかく、クオリティーの面でいえば、この種のセンサーは完成の域に達しつつあるのかもしれない。ペンがきちんと本体内(右側面)に収納できるのもありがたいところだ。

付属の電磁誘導ペンは本体右側の専用スペースに収納できる

付属の電磁誘導ペンは本体右側の専用スペースに収納できる。ペンは感圧対応で、電池などは不要。お尻には「消しゴム」機能向けのサブセンサーがある。センサーの提供元であるワコムタイプのペンだ

 タッチセンサーとの共存も、かなりの完成度となっている。クラムシェルモード(通常のノートパソコンモード)でちょっとした操作に使う際や、タブレットモードで主にウェブや文書の閲覧に使う場合には、指先で操作するのがいいだろう。精度も申し分ない。

 ペンを抜いて画面に書き始めると、手の平や服の袖がタッチセンサーに触れることになるが、その際にはタッチセンサーが自動的にオフになるので、誤動作もかなり少ない。残念ながらゼロではないが、それが作業の大きな妨げになることはなかった。この辺は使い勝手の向上に大きく寄与している。

 Windows 7がマルチタッチに標準対応したのはご存じのとおりだが(関連記事)、もちろんその機能は、すべてX201 Tabletで利用できる。Internet Explorer 8やエクスプローラーで活用できるのは当然だが、Windows 7のマルチタッチ対応アプリケーションならば、その機能が生きてくる。

 気に入ったのは、X201 Tabletの設定変更用ユーティリティーでも「タッチ」を生かしていることだ。写真を見ていただければおわかりのように、画面右上には赤い「Simple Tap」というボタンが出ている。これは、輝度や音量、操作ロックといった設定を「指」で行なうアプリケーションを呼び出すボタンだ。指を2本使って、画面の好きな位置をダブルタップすることでも呼び出せるので、ボタンは隠しておいても使える。慣れたらそちらの方がいいだろう。

 Simple Tapはその名のとおりシンプルなソフトで、通常はキーで行なう設定操作を、タッチだけで行なうものだ。画面が暗転し、操作ボタンが表示されるので、目的のボタンをタッチすればいい。面白いのは、輝度や音量といった「ボリュームのような」操作をする場合、画面に大きなスライダーが表示されるということだ。これを指でずらすと設定が変わる。

タッチ操作の設定ツール「Simple Tap」。呼び出すと画面が暗転してボタンが表示されるので、触って操作する。輝度などを変更する場合にはスライドバーを指で操作する

 特に輝度変更の場合には、「最終的にどのくらいの明るさになるか」が画面上で確認できるようになっていて、実にわかりやすい。キーボードを使っている時には、わざわざ使う必要のない機能だが、タブレットモードの時にはとても便利なものである。

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