CPUにCore i7-640LM(2.13GHz)を使っているだけあって、トップパフォーマンスでの発熱はかなり大きい。膝の上で使っているとじっとりと熱さを感じる。だが、キーボードやパームレストにはあまり伝わってこないし、そもそもなかなか高負荷状態に達しないので、発熱が問題になることはないだろう。
バッテリー駆動時間は、カタログ値で最大約3.8時間、バッテリーベンチマークテスト「BBench」の計測で、最大2時間程度と長くはない。これは、テストに利用した標準搭載のバッテリーが4セルタイプであるからだろう。オプションで8セルの大容量バッテリー(価格差は7800円程度)があるため、そちらを使えば動作時間は長くなる。といっても、容量から考えると今の倍程度だから、昨今のモバイルノートと比較すると、ちょっと短めだ。
省電力設定・バックライト最低 | フルパワー・バックライト最高 |
---|---|
約2時間3分 | 約1時間35分 |
センサー精度は十分
技ありの「Simple Tap」が楽しい
では、X201 TabletをタブレットPCとして見るとどうだろう? X201 Tabletは、マルチタッチと電子誘導ペンの両方に対応した12.1型/1280×800ドットのディスプレーを内蔵している。サイズと解像度は特に変わったものではないが、やはり特徴はマルチタッチと電磁誘導ペンの共存ということになる。
電磁誘導ペンのクオリティーは非常に高い。少なくとも、文字を中心としたメモやちょっとした絵を描くくらいならば、不満は出てこないだろう。感圧センサー型のペン入力では線がキレイに描けないが、これならまったく問題ない。サイズやコストはともかく、クオリティーの面でいえば、この種のセンサーは完成の域に達しつつあるのかもしれない。ペンがきちんと本体内(右側面)に収納できるのもありがたいところだ。
タッチセンサーとの共存も、かなりの完成度となっている。クラムシェルモード(通常のノートパソコンモード)でちょっとした操作に使う際や、タブレットモードで主にウェブや文書の閲覧に使う場合には、指先で操作するのがいいだろう。精度も申し分ない。
ペンを抜いて画面に書き始めると、手の平や服の袖がタッチセンサーに触れることになるが、その際にはタッチセンサーが自動的にオフになるので、誤動作もかなり少ない。残念ながらゼロではないが、それが作業の大きな妨げになることはなかった。この辺は使い勝手の向上に大きく寄与している。
Windows 7がマルチタッチに標準対応したのはご存じのとおりだが(関連記事)、もちろんその機能は、すべてX201 Tabletで利用できる。Internet Explorer 8やエクスプローラーで活用できるのは当然だが、Windows 7のマルチタッチ対応アプリケーションならば、その機能が生きてくる。
気に入ったのは、X201 Tabletの設定変更用ユーティリティーでも「タッチ」を生かしていることだ。写真を見ていただければおわかりのように、画面右上には赤い「Simple Tap」というボタンが出ている。これは、輝度や音量、操作ロックといった設定を「指」で行なうアプリケーションを呼び出すボタンだ。指を2本使って、画面の好きな位置をダブルタップすることでも呼び出せるので、ボタンは隠しておいても使える。慣れたらそちらの方がいいだろう。
Simple Tapはその名のとおりシンプルなソフトで、通常はキーで行なう設定操作を、タッチだけで行なうものだ。画面が暗転し、操作ボタンが表示されるので、目的のボタンをタッチすればいい。面白いのは、輝度や音量といった「ボリュームのような」操作をする場合、画面に大きなスライダーが表示されるということだ。これを指でずらすと設定が変わる。
特に輝度変更の場合には、「最終的にどのくらいの明るさになるか」が画面上で確認できるようになっていて、実にわかりやすい。キーボードを使っている時には、わざわざ使う必要のない機能だが、タブレットモードの時にはとても便利なものである。
この連載の記事
-
第116回
PC
「VAIO Duo 13」—革新は形だけじゃない! 変形ハイエンドモバイルに込めた思い -
第115回
PC
ソニーの本気—Haswell世代でVAIOはどう変わったか? -
第114回
PC
渾身の「dynabook KIRA V832」はどう生まれたのか? -
第113回
PC
HPの合体タブレット「ENVY x2」は、大容量プロモデルで真価を発揮! -
第112回
PC
ソニー“3度目の正直”、「Xperia Tablet Z」の完成度を探る -
第111回
PC
15インチでモバイル! 「LaVie X」の薄さに秘められた魅力 -
第110回
PC
フルHD版「XPS 13」はお買い得ウルトラブック!? -
第109回
デジタル
ThinkPad Tablet 2は「Windows 8タブレット」の決定打か? -
第108回
デジタル
今後のPCは?成長市場はどこ? レノボ2013年の戦略を聞く -
第107回
PC
Windows 8とiPadがもたらす変化 2012年のモバイルPC総集編 -
第106回
PC
Clover Trailの実力は? Windows 8版ARROWS Tabをチェック - この連載の一覧へ