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藤末健三@fujisue参議院議員に聞いてみた!

インターネットで選挙運動が解禁? Twitter議員に聞いてみた

2010年03月20日 09時00分更新

文● ASCII.jp編集部

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民主党案はフリーダム過ぎる!?
「まずは候補者の情報発信のみ解禁が落としどころ」

――こうなってくると気になるのは今春提出予定の改正案ですが、今回のはずいぶんと思い切った内容だと聞きます。

藤末議員 実は今回、あまりにも“解禁”という言葉が一人歩きしてしまって、全面的に何でもかんでもできるようになるというイメージが先行しています。現在の民主党案もそのイメージに沿った内容となっているんですね。

 僕が主張していたのは、まず候補者が情報発信できるようにしましょうね、と。ポータルサイトさんなどがプラットフォームを作って、候補者はその中でのみ情報を開示するというやり方です。成りすましのチェックについては企業側が責任もってやりましょうと。そして企業のみなさんは「やる」と言ってくれたんですよ。だから僕はそこが限界かなと思っていたのです。

 ところが今回の法案は電子メールまで使えるようになっています。こうなると誹謗中傷や成りすましがぐわーっと増えてきて、収拾付かなくなる可能性があります。その結果、落選された方が「この誹謗中傷のせいで落ちた!」とあちこちで主張し始めると……。

――まさに韓国はその状態に陥った末に、強力な規制が入ってしまいましたよね。現在は選管がネットを随時チェックしているようです。では、アメリカの場合はどうでしょう? 資金的にも人口的にも、韓国以上にヒートアップしそうですが。

藤末議員 アメリカは何でもありですよ。後で裁判で争ってねというスタイルです。氏名とメールアドレスを開示してなどといった縛りもない。完全にフリーです。ですから現在の民主党改正案はアメリカ型なんです。

2008年の大統領選はソーデャルメディアの活用で決着がついた。オバマの選対は、支持者を効率よく動かすために専用の公式SNSを構築し、そこでは陣営が運動員に何をして欲しいかひと目でわかる状態を作り上げた(画像は公式SNS「my.barackobama.com」とそのネット献金ページ)。さらに、マンパワーが必要な電話勧誘や献金募集などの作業は、あらかじめSNSに付属しているオンラインツール上から行えるようデザインされている。これによって全米に散らばる支持者たちは、選挙事務所に集まることなく、自分に合った労力を少しずつオバマに捧げることができた。支持者の熱意を実働に繋げた選対のソーシャルメディア活用の勝利といえる。ちなみにシステム構築は、Facebookの共同設立者クリス・ヒューズが担当している

 アメリカの場合、バラク・オバマのアンチサイトができると、即座に反論サイトが立ち上がるといった動きがあって、結果的に有権者はさまざまな意見から取捨選択することができます。ある意味そこまで選挙戦が過熱すればいいのでしょうが、中途半端に解禁すると怖い。誹謗中傷があったときにすぐさま火消しに入れる体制を各候補者陣営が構築できるのか。「それは違う。事実はこうだ」と反論できる“サイバー部隊”を作れるかどうか。

 僕の意見としては、問題が起きて逆に締め付けが厳しくなってしまうことを懸念しています。小出しに解禁していきたいというのは、そういった理由からです。ちなみに誹謗中傷や成りすましへの罰則をどうするかという点についてですが、改正案では、事後的に民事で争ってね、ということになっています。「公選法は面倒みません!」というアメリカ型ですね。

――話を戻すようですが、先ほどおっしゃったプラットフォームは、複数の企業が並列して運営することになるのですか? ヤフーが運営する選挙運動用プラットフォーム、グーグルが運営する選挙運動用プラットフォーム、マイクロソフトが……などといった形を考えればよいのでしょうか。

藤末議員 そうですね。例えば10社がプラットフォームを作った場合、候補者はそれぞれのプラットフォームに自身の情報発信ページを作ることができます。誹謗中傷などの書き込みも現在のプロバイダ責任法の枠内で削除できます。

――一応の結論を言うなれば、現状の法案はあまりにもフリーダム過ぎると。

藤末議員 フリーダムが過ぎて、韓国のようにネット規制の口実になってしまっては元も子もないですからね。


前編はここまで! 後編では、政治の仕組みを覆す壮大な改革案を藤末議員が初公開

 あまりにざっくばらんなインタビューの結果、前後編となってしまった。後編では、ネット選挙運動解禁と双璧を成す、一大改革への挑戦が藤末議員から語られる。近々にアップいたしますのでお楽しみに。


「ネット選挙運動解禁は“長篠の戦い”か」

 長篠の戦いは鉄砲が騎馬を蹴散らしたという意味でターニングポイントではありますが、実は武田軍は鉄砲を軽視していたわけではありません。信玄の時代から鉄砲を入手しており、使ってみたいと述べています。しかしそれが叶わなかったのは、すでに武田軍には強力な騎馬隊が存在していたため、鉄砲をあらためて使いこなす必要性に迫られていなかったからです。一方、織田軍は鉄砲を新たなツールとして大規模かつシステマチックに使いました。その結果、織田軍は勝利し、鉄砲は一気に主力武器となりました。翻って現代選挙においての鉄砲はインターネットです。今後はブログ、Twitter、YouTube、電子メールといったメディアをシステマチックに利用することで、初めて既存の枠を越えた選挙運動を展開することが可能になるでしょう。

 ……と、ここまでが私の持論だったのですが、最近この比喩はもはや古いのでは、と感じ始めています。

 では、どう変わったのか? それは機会をあらためてお話したいと思います。(藤末議員・談)


後編のコラムに続きます


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