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Windows 7対応の裏側に見た国内ISVの秘めた実力 第9回

メガソフト「3Dマイホームデザイナー LS3」

好きな家を何軒も!使いやすさ追求の住宅建築シミュレーション

2010年03月04日 08時00分更新

文● 池田圭一

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今後の3D発展に期待することとは?

―― Windows 7が前面に出しているマルチタッチ、センサー&ロケーションについてはいかがですか?

平井 操作体系として、各パーツの配置や、モデルビューの回転などに応用できそうだ、とのアイデアが社内的に上がってきている段階です。ハードウェア環境がもう少し整ってきてから、本格的に取り組むことになると思います。

津田 私たちも3Dソフトを長く手がけてきているので、人の五感を使うのは挑戦し甲斐のある分野だと考えています。実は、数年前に裸眼立体視が可能なディスプレーが出てきたとき、住宅モデルを立体視できるシステムを社内で試験的に作っていました。今年になって3D映画や3Dテレビがどんどん出るようになりましたから、今後は日の目を見るのではないかと期待しています。

―― 五感ということは三次元の模型を作って、見たり触ったりするアプローチもありますか?

平井 模型作りに、3Dマイホームデザイナーのデータを使えないか? との声はいただきますね。

津田 実は、3Dマイホームデザイナーで作られたデータをお預かりして、3Dプリンターで模型を作るというサービスを先日から開始しています。

 お客様に非常に注目をしていただいているのですが、まだ受注となると少ないですね。このシステムでは内部も同時に作れて、画面どおりに彩色してくれますので、手に持っていろいろな角度から住宅を眺められるという利点があります。

メガソフト 住宅模型作成サービス

 インクジェットプリンターの原理を応用した産業用の立体物造形システム(3Dプリンター)を利用して、3Dマイホームデザイナーのデータから立体模型を作成する。

 作成可能な縮尺は1/200~1/50などの指定サイズを始め、個別にも対応可能。手のひらに乗るコンパクトなものが1万円前後、住宅内部までこまかく再現して屋根を取り外して見るなど、本格プレゼン用に使えるもので約2万円から作成できる。

公式サイト:http://www.megasoft.co.jp/3dmodel/

デモ用に制作したという3Dモデル。このサイズで内部も確認できるカットモデルだと十数万円になるが、記念にぜひ作りたいという施主の声も届いているという


―― これはすごいですね。そのほか3D関連での展開は何かありますか?

津田 現在、興味を持っているのは“拡張現実(AR)”ですね。AR作成のためのSDKなどが出てきて、簡単に実現できるようになると、可能性はかなり広がると考えています。

 例えば、何もない土地に、3Dマイホームデザイナーで作成した住宅モデルを投影して、あたかもそこに建っているようにも見せられます。特殊なメガネ(ヘッドマウントディスプレー)などが必要だとしても、これで現実の土地・場所でプレゼンできるというのは、インパクトが大きいですね。

AR(Augmented Reality、強化現実とも):現実の環境に、コンピュータなどを用いて各種の情報を付加・提示する技術、あるいは、情報付加された環境そのもの。ヘッドマウントディスプレー、セカイカメラ、空間タグなどさまざまな要素を含む。


情報共有ツールとしてのクラウド利用

―― 御社にとって、クラウドをビジネスに利用できそうですか?

津田 もちろん利用できますし、すでに利用してもいるのですが、これからは「クラウド」と構えてしまうのではなく、普通に意識しないで使えるようになっていくものだと思います。

 3Dマイホームデザイナーでは今のところ、作成した住宅モデルはローカルで保存・利用するのみですが、プロの建築士の方が作成されたデータを工務店や施主さんとも共有できると便利ですよね。

西脇 実際、別荘を手がけているお客さまの場合、東京在住の施主と遠隔地の建築業者さんとの間で、メールではありますが住宅モデルをやり取りされ、「現地に何度も行くことなく細部の確認作業が行なえて、非常に便利だった」とのお話をうかがっています。

津田 データをWebサイトに置けるようにして、自由に変更でき、その変更履歴も残るようにすれば、住宅建築の打ち合わせの際に、「言った言わない」というトラブルも減るでしょうし、手間も減らせますよね。今でもメールや電話が主体ですが、図面の確認となると、やはり実際に目にしながらの確認作業となっています。そういったケースが、ビジュアルも含めてWebサイトやクラウドを使い、すべての経過が記録されるようになってほしいものです。

―― 実は私自身も数年前に家を建てたのですが、そのときは建築業者との打ち合わせが大変で。なぜネットでできないのかと思いました。

津田 複数の物件を担当し、同時進行で進捗管理やスケジューリングしなければならない建築士さんからは、クラウドを用いて一元管理できるようになってほしい、との声をいただきます。

 さらに一歩進んで、Webアプリケーションの3Dマイホームデザイナーということにでもなれば、施主や建築士、現場の工務店まで、それぞれにログイン情報を持つだけで、すべての情報を共有できます。そうなると、家作りも変わってくるでしょう。早く実現したいですね。

―― 近い将来、必ずやそうなることを期待しています、本日はありがとうございました。


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