荒削りだが、従来とは異なるアプローチには要注目
録画やネット上のHD動画の扱いなど、ユーザー視点ではまだまだ荒削りな部分も残るROBROだが、取材を通じて3つの革新的なアプローチを確認することが出来た。
1. CELL REGZAとはまったく対照的なコンセプトであること
CELL REGZAはその名の通り「CELLプロセッサー」を搭載し、全チャンネルチューナーと大容量ハードディスクによって、フルHD動画を全部録るという意欲的な仕様だ。だが、NHKの番組中でも紹介されていたように、その制御ソフトウェアのチューニングには多大な苦労があり、それは価格にも反映されている。
対するROBROはパソコン汎用部品とWindowsベースのOSを採用することで、そのコストを大幅に抑えることに成功している。機能的には比較するべくもない2つのテレビだが、そのアプローチの違いは、今後登場する他の動画関連製品を捉える際の軸となる視点だ。
2. テレビとネットの境界線をあいまいに出来たこと
これまでも「ネットテレビ」と銘打った製品は数多く登場し、あまり支持されないまま市場から姿を消していった。今回「ニコニコ実況」と統合されることによって、テレビとネットが同じハードウェア上でつながったことの意味は大きい。
まだ、ROBROからはコメントを投稿できず、また、放送・通信法の改正も待たなければさらなる融合は難しい状況ではあるが、その端緒を示したという意味は大きいのではないだろうか。
3. テレビ・ネットの既存のものを利用してコンテンツを獲得すること
アクトビラに代表されるオンデマンド型のIP放送は、システム投資に加えて、そこで提供する番組をゼロから調達する必要がある。ユーザーが見たいコンテンツを幅広く用意しておくことは、そのままコスト的なインパクトとして跳ね返ってくるのだ。
ニコニコ動画はUGCを集めることでその費用を大幅に抑えたが、一方でタレントを起用するなど番組制作費をかけたコンテンツも用意する必要にも迫られている。多くのSTBが上手く行かなかったのもこの部分の負担に耐えられなかった面が大きい。
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