インテルよりもシンプルなAMDのデスクトップ向けCPUのコード名
コード名と製品名の混乱については、インテルに比べるとマシなのがAMDである。製品数そのものがそれほど多くないうえに、ちゃんと製品構成別に製品名が分かれているからで、このあたりは大分わかりやすい。
AMDの場合、サーバー製品をデスクトップ/モバイルに持ってくる、というのが基本方針であり、そのためアーキテクチャーのコード名はサーバーのコード名と共通している。AMDのサーバーコード名だが、昔はいろいろな都市の名前になっていたが、最近はF1サーキットがある都市の名前になり、「Barcelona」「Shanghai」「Magny-Cours」「Interlagos」「Valencia」といった名前が付けられている。ただし、デスクトップ/モバイルに関しては必ずしもこの限りではなく、特にデスクトップ向けは星の名前を取ったコード名を使っているため、「STARS」シリーズなどと呼ばれていたりする。
AMDデスクトップCPUのコード名一覧
アーキテクチャー コード名 |
製造プロセス | 製品コード名 | 製品 |
---|---|---|---|
Barcelona | 65nm SOI | Agena | Phenom X4 9000番台 |
Toliman | Phenom X3 8000番台 | ||
Kuma | Athlon X2 7000番台 | ||
Shanghai | 45nm SOI | Deneb | Phenom II X4 900番台 |
Heka | Phenom II X3 700番台 | ||
Callisto | Phenom II X2 500番台 | ||
Propus | Athlon II X4 600番台 | ||
Rena | Athlon II X3 400番台 | ||
Regor | Athlon II X2 200番台 | ||
Sargas | N/A | ||
Istanbur | Thuban | N/A | |
Bulldozer | 32nm SOI | Zambezi | N/A |
Llano | 32nm SOI | Llano | N/A |
さてラインナップだが、まずデスクトップは65nm世代で「Barcelona 」コアの「Agena」「Toliman」を「Phenom X4」「同X3」として投入したものの、発熱が多すぎで嫌われたのはご存知のとおり。Agena/Tolimanは物理的には同一のダイで、TolimanはCPUを1コア分殺した形で出荷されている。
また、Athlon X2を「Kuma」として示しているが、実はこれは本来のKumaとは違う。ベースとなるのは「Brisbane」という前世代のAthlon X2で、「Socket AM2+への対応」を施したものでしかない。本来のKumaはBarcelonaと同一のコアを使い、ここから3次キャッシュを省いたものになるはずだった。ところがPhenomの消費電力の大きさやバグフィックスの手間などもあり、本来のKumaは事実上見送られた形になる。
ただし、45nm SOIプロセスが大幅に改善されたことで、45nm SOI世代ではローエンドまですべてPhenomと同じアーキテクチャーに切り替わる。ベースとなるアーキテクチャーは「Shanghai」で、これをそのまま使った「Deneb」「Heka」「Callisto」というコード名の製品が、それぞれ「Phenom II X4/X3/X2」として出荷された。
また、Shanghaiから3次キャッシュを抜いてデュアルコア構成とした「Regor」が「Athlon II X2」として、同じくShanghaiから3次キャッシュを抜いた「Propus」「Rena」が「Athlon II X4/X3」としてリリースされている。ちなみにDeneb/Heka/Callistoは物理的に同じダイだが、RogerとPropus/Renaは異なったダイである。
さらに、予定ではバリュー向けにRegorから1CPUコアを無効化したものが「Sargas」としてリリースされるはずだったが、昨今のAMD製品の価格の下がり方からして、ここでバリュー向けを作っても競争力がないと判断したためか、少なくともデスクトップ向けには今のところ作る予定がない模様だ。バリュー向けの「Sempron」ブランド自体が、65nm SOIの「LE-1000番台」が最後となっている。いずれもSocket AM2のままで、しかも全製品とも「EOL」(End Of Life、製造終了)扱いとなっているので、このブランドごと消滅する可能性が高そうだ。
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