DVDが売れないなら、ニコニコ動画に出せばいい
―― YouTubeのパートナー制度(関連記事)とも対比される、公式チャンネルについてはいかがでしょうか?ドコモ出身の夏野さんがiモードのビジネスモデルを取り入れようとした試みではありますが。
小林 まだまだチャンネルやコンテンツを有料化できる状態には数・質とも無いと考えています。まずはやはりプレミアム会員が100万人という規模に達する必要があり、それを受けて、はじめて公式チャンネルに参加するコンテンツホルダーが本気になってくれるはずです。そこを目指して努力しているところですね。
―― 2008年10月にはポイントサービスも導入されました。月額定額課金だけではなく、都度課金についても環境は整いつつありますか?
小林 そちらもまだまだ整備が必要だと感じています。ドコモさんの「ケータイ払い」が可能になって随分改善しましたが、以前はウェブマネーやクレジットカードが前提となり、ユーザーにとってのハードルは高いのが実情でした。こういった決済手段の整備と有料会員の伸びが、公式チャンネルのパートナーにアピールするようになれば、コンテンツももっと充実すると見込んでいます。
「DVDが売れない」ということが良く話題になりますが、私は現在のニコニコ動画のユーザー数や、ユーザー層を見て頂ければ、「DVDを出さずに、ニコニコ動画で有料配信する」方が合理的だという状況になるまで、あと一歩だと思うんですよ(笑)。
―― なるほど。一方で、ニコニコ動画といえば、やはりUGC(ユーザー生成コンテンツ)が花開くサービスという印象もありますが、商用コンテンツ提供者に対するお考えや期待という面ではいかがでしょうか?
小林 ユーザーコンテンツと商用コンテンツは両輪だと考えていますが、欲を言えば、ユーザーがコンテンツを生み出していく過程の中で、商用コンテンツがその刺激となったり、相乗効果を生めるような展開が増えると良いですね。
つまり、コンテンツホルダーさんには、MADなどの二次利用をもっと認めてほしい、と願っているところです。それが結果として、コンテンツホルダーにも良いフィードバックとして返ってくるはずですから。
現状では、200を超える公式チャンネルが展開されていますが、翻案に理解があったり、取り組みたいという先進性のある方々が参加頂いていますが、経験の積み重ねと共にその動きは拡がっていくはずです。
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