Q5 内蔵GPUは強化された?
A5 3D性能はそれほどでもないが、BD用に動画再生能力が強化された。Arrandale内蔵のGPUは、「Intel HD Graphics」という名称で呼ばれている。基本的には、Core 2 Duoとセットで使われたチップセット「Intel GM45 Express」に内蔵されていたGPU「Intel GMA 4500MHD」の強化版で、DirectX 10対応GPUとなっている。
3Dグラフィックス面では、内部の実行ユニット(EU)が、GMA 4500MHDの10基から12基に増えた。また動作クロックも、GMA 4500MHDの533MHzから500~766MHz(Core i7/5の場合)へと高速化されている。アーキテクチャー自体の大きな変更はないが、これらの変更により若干は3Dグラフィックス性能が向上していると期待できる。
3D以上に重視されたのが、BDソフトの再生に向けた動画再生支援機能の強化にある。動画再生関連の機能は「Intel Clear Video Technology」と称されており、ハードウェアによるMPEG-2/VC-1/AVCのデコード、2ストリームのBDビデオ再生を可能とする。特に強化されたのが映像高画質化に関する機能で、インターレース解除やシャープネスの強化、フィルムモードディテクション(3:2プルダウン)といった機能が盛り込まれている。
NVIDIAやAMDの独立(ディスクリート)GPUを搭載していないノートパソコンでも、従来より高画質なBD映像を楽しめることになりそうだ。
Q6 対応チップセットはどんなものがあるのか?
A6 新たに登場した4種類と合わせて、5種類のチップセットが用意されている。一般的なノートパソコン向けは「Intel PM55 Express」「Intel HM57 Express」「Intel HM55 Express」の3種類。企業システム向けに遠隔管理機能対応を盛り込んだ「Intel QM57 Express」「Intel QS57 Express」が2種類存在する。
PM55はグラフィックス機能を持たないClarksfieldと同時に登場したもので、Arrandaleの内蔵GPUからの映像出力バス「FDI」に対応しない。そのため、ディスクリートGPUを搭載する高性能なノートパソコンにだけ採用されている。1月に発表されたそれ以外のノートパソコンの多くは、HM55を採用する製品が主流となっている。HM57/HM55/PM55の主な違いは以下のとおり。USBポート数やSATAポート数などに違いはあるが、基本的にユーザーが意識する必要はない。
HM57 | HM55 | PM55 | |
RAID機能 | 対応 | 非対応 | |
USB 2.0 | 14 | 12 | 14 |
SATA | 6 | 4 | 6 |
PCI Express | 8 | 6 | 8 |
FDI | 対応 | 非対応 |
Q7 バッテリー駆動時間はどうなった?
A7 製品にもよるが、短くなる場合もあるようだ。ArrandaleはCPUコアの製造プロセスが32nmと、Core 2 Duo世代の45nmから微細化された。一般的には半導体製造プロセスの微細化が進むと、CPUは同じ消費電力ならより高速に、同じ速度ならより低消費電力になるのだが、ArrandaleではGPUが内蔵されたことにより、そう簡単にはいかなくなったようだ。
Windows 7ではユーザーインターフェースの表示にGPUの機能を利用する。そのためCPU負荷が低い状態でも、GPU部分はそれなりに動作している。そのためなのか、Core 2 Duo+GPU内蔵チップセットの組み合わせよりも、CPUの消費電力がそれほど下がらないという話を耳にする。筆者が各メーカーの担当者に聞いた限りでは、どこもArrandale搭載ノートの低消費電力化には苦労しているようで、最初の世代の製品ではバッテリー駆動時間を伸ばすのは難しいようだ。
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