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ユーザーの期待を裏切るコンテンツの改善 (4/4)

2009年10月30日 21時00分更新

文●中野克平/デジタルコンテンツ部編成課

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検索エンジン経由のユーザーをもてなすには?

 検索エンジン経由のユーザーには、「○○について知りたい」という強い動機がありますので、直帰率が他のトラフィックに比べて高めになります。とはいえ、「高くても仕方がない」と見過ごすのではなく、直帰率を改善する方法はいくつか知られています。


■LPO(Landing Page Optimization:着地ページ最適化)

 着地ページとは、ユーザーがWebサイトを訪れた時、最初に見るページのことです。日本語版のGoogle Analyticsの「閲覧開始ページ」は、英語版では「Top Landing Pages」、「スタートページ」とも呼ばれます。

 今回見たように、「iphone タッチパネル」で検索しているユーザーが検索エンジンを使っている動機と、検索エンジンが提示したコンテンツが一致していないと、ユーザーは何も見ずに帰ってしまいます。もし、ユーザーの動機に合致する記事や商品があるのに、検索エンジンが別のページを提示しているのだとしたら、これほどもったいない話はありません。そこで、HTTPヘッダーのリファラーから検索キーワードを読み取り、閲覧開始ページに別のコンテンツへのリンクを表示するのがLPOです。


■リコメンデーション

 協調フィルタリングやコンテンツ内キーワードの位置、タグクラウド、カテゴリーの設定など、あるコンテンツに関連すると別のコンテンツへのリンクを表示します。リファラーを使わなければ、検索エンジン経由以外のユーザーにも関連コンテンツを提示できます。したがって、上記のLPOは、リコメンデーションのリファラーを使った1つの実装方式とも理解できます。


■ページへの追記

 あるコンテンツが本来とは異なるキーワードの閲覧開始ページになっていることが分かったら、コンテンツ内に、「○○についてお探しの方はこちら」というように、ナビゲーションを追加してもよいでしょう。


■コンテンツの追加

 上記3つは、どちらかというと小手先の話です。ユーザーの本来の目的を知るには、

  • 実際にキーワードを検索エンジンで調べてみて、上位のページで何が書かれているか調べる
  • Googleツールバーなどで表示されるキーワードの補完機能を使って、併用されているキーワードから、ユーザーの目的を推定する
  • Google Insights for Search(http://www.google.com/insights/search/)を使って、関連する検索キーワードの傾向から、ユーザーの目的を推定する

などの方法が考えられます。検索エンジン経由であるキーワードのユーザーが多く訪れているのであれば、ユーザーの本来の目的をかなえるコンテンツを追加するのが本来のWebサイト運営でしょう。

 「Google Insights for Search」は、検索キーワードがどの地域でどのくらい調べられているか、関連するキーワードは何か? を教えてくれる強力なツールです。ただし、「insight」(洞察力)という名前通り、何をしたらよいのかまでは答えてくれません。たとえば、以下はGoogle Insights for Searchで「iphone タッチパネル」を調べたときの画面です。

Google Insights for Searchを使うと、全世界の検索キーワードの動向を調べられる

Google Insights for Searchを使うと、全世界の検索キーワードの動向を調べられる


 興味深いことに、「iphone タッチパネル」に関連する「人気検索クエリ」に、「タッチパネル携帯」「タッチパネル方式」「iphone タッチパネル方式」というキーワードが出てきました。どうやら「iPhoneのタッチパネルは使い心地はどうだろうか?」というiPhoneの購入を前提にした目的の外側には、「タッチパネル携帯」という上位概念がありそうです。

 つまり、「タッチパネル方式の携帯電話の中で、iPhoneは使いやすいのか?」「iPhone以外のタッチパネル方式の携帯電話は、どれが使いやすいのか?」といった需要がユーザーにあるのではないか? という仮説が立てられるわけです。この仮説が正しいとすれば、自社で運営しているサイトでできることは何か? を考えればよいのです。こうしたPDCAの回し方は、ネットショップやプロモーションサイトでも応用できるでしょう。


 今回で検索トラフィックの分析は終わりです。次回からは、参照トラフィックの分析方法について紹介します。


著者:中野克平(なかの かっぺい)

アスキー・メディアワークス技術部基盤研究課係長(兼デジタルコンテンツ部編成課係長)。ASCII.jpをはじめとするアスキー・メディアワークスのWebサイトについてアクセス状況を解析し、事業を改善する報告をしながら、基盤となる検索エンジン技術、Webアプリケーションの研究開発を担当している。

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