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キーワードとサイトの相性をAnalyticsでアクセス解析 (4/8)

2009年10月02日 21時00分更新

文●中野克平/デジタルコンテンツ部編成課

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ナビゲーションクエリーとWebプレゼンス

 以下は、ASCII.jpのあるサブドメインについての「キーワード」レポートです。

「トラフィック」→「キーワード」の「キーワード」レポート

「トラフィック」→「キーワード」の「キーワード」レポート


 サブドメインといっても、「ascii」や「アスキー」、「ascii.jp」など、ASCII.jpのブランド関係の言葉が上位に入っているのが特徴です。この種のキーワードを「ナビゲーションクエリー」と呼びます。ユーザーが、ブランド名やサイト名など、最初に訪れたときに使ったキーワードで検索し、Webサイトを再訪しているのです。ブックマークに登録していなかったり、登録してあるけどメニューを操作するのが面倒だったり、という理由で、Webブラウザーのツールバーでブランド名やサイト名を検索して訪れている例がほとんどでしょう。検索エンジン経由とはいえ、実態としてはノーリファラートラフィックに近く、平均ページビューは多めで新規セッション率は低めになります。

 ナビゲーションクエリーは、再訪時に使われるとは限りません。たとえば腕時計を選んでいるユーザーが「腕時計」を検索して訪れるのもナビゲーションクエリーです。初回時に「3番目のショップがよかった」と記憶すると、2回目以降も、ユーザーはショップ名ではなく、「腕時計」のようなジャンル名で検索し、「上から3番目」という検索結果の順位を手がかりにWebサイトを訪問します。キーワードレポートの上位にブランド名やサイト名ではなく、突出して多いジャンル名がある場合、そのキーワードはナビゲーションクエリーだと考えられます。

 ナビゲーションクエリーは、「Webプレゼンス」と密接に関係しています。Webプレゼンスとは、ある企業や人物の「Web上での存在感」といった意味です。企業がWebサイトを持っていれば、Webプレゼンスの大半は公式サイトになりますが、掲示板に批判を書かれれば、その投稿もWebプレゼンスの一部です。また、たとえば公式サイトがない書体関連の企業である「写研」の場合は、Wikipedia日本語版の「写研」の項目がWebプレゼンスの大半を占めています。個人であれば、SNSやブログなどがWebプレゼンスの実体です。

 キーワードの上位にブランド名やサイト名があれば、そのWebサイトはWebプレゼンスの重要な構成要素ということです。逆に、キーワードの上位にブランド名やサイト名がなく、ジャンル名や商品名などが並ぶ場合は大問題です。そのWebサイトはブランドや企業のWebプレゼンスの役に立っておらず、ネットショップであれば、「○○を安く売っているなら、どこだっていい」という扱いを受けているわけです。「多少高くても、○○で買いたい」と思ってもらった方が、商売は大きくしやすいでしょう。

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