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池田信夫の「サイバーリバタリアン」 第76回

「ガラパゴス」を日本のチャンスに

2009年07月22日 12時00分更新

文● 池田信夫/経済学者

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世界語になった「ガラパゴス」

 日本の携帯電話を「ガラパゴス」と呼ぶのはもはやおなじみだが、今では世界に通用するようだ。19日のニューヨーク・タイムズは、「日本の携帯電話はなぜグローバルにならなかったのか」と題して、ガラパゴス症候群を紹介している。

日本の携帯電話のイノベーションは驚異的だ。1999年にはEメールを、2000年にはカメラを、2001年には第3世代を最初に実用化し、2002年には音楽ダウンロード、2004年にはおサイフケータイ、そして2005年にはデジタルTVまで内蔵した。日本のスマートフォン・ユーザーは1億人でアメリカの2倍だ。

 しかし日本のメーカーで本格的に世界市場で商品を売っているのは、外資と合弁のソニー・エリクソンだけ。その市場シェアは6.3%で巨額の赤字に苦しんでいる。昨年の日本の携帯電話の売り上げは前年比19%も落ち込んだ。その一部の原因は販売奨励金の廃止だが、もはや国内市場は飽和し、このままでは8社もある端末メーカーが生き残ることは不可能である。

ニューヨーク・タイムズのサイトから

ニューヨーク・タイムズのサイトから。この記事に対するアメリカ人のコメントもなかなか興味深い

 こうした状況の中で、これまで海外事業を縮小してきた端末メーカーも方針を転換し、ふたたび海外に打って出る戦略を検討し始めている。NTTドコモの「iモード」を開発した夏野 剛氏も言うように、日本のメーカーの技術は今でも世界一だし、人材も資金も十分だ。何が無いのか、それは「決断する経営者だ」と夏野氏は5月の「アゴラ起業塾」で言った。

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