AMDは2009年4月23日、Socket AM3に対応するクアッドコアCPU「Phenom II X4 955 Black Edition」(以下X4 955 BE)を発表した。4月24日に発売予定で、店頭予想価格は2万8800円前後とされている。
Phenom IIシリーズについては以前の解説(関連記事)を見ていただきたいが、従来のPhenomシリーズをベースに、プロセスルールを45nm SOIにシュリンクすることで、L3キャッシュ容量を3倍の6MBに増量し、マイクロアーキテクチャを改良したAMDの最新CPUである。Phenom IIシリーズは、DDR2メモリのみをサポートしたSocket AM2対応版とDDR3/DDR2両対応のSocket AM3対応版があり、当然DDR3のほうがメモリ帯域幅が広く、パフォーマンス的には有利となる。なお、Socket AM3対応版CPUは、従来のSocket AM2/AM2+対応マザーボードでも利用できるが、DDR3メモリのみ対応のSocket AM3対応マザーボードにSocket AM2対応版CPUを装着することはできない。
CPUスペック | ||||
---|---|---|---|---|
モデルナンバー | Phenom II X4 955 BE |
Phenom II X4 810 |
Phenom II X4 940 BE |
|
対応CPUソケット | Socket AM3/AM2 | Socket AM3/AM2 | Socket AM2 | |
ステッピング | C2 | C2 | C2 | |
製造プロセス | 45nm SOI | 45nm SOI | 45nm SOI | |
コア数 | 4 | 4 | 4 | |
動作クロック | 3.2GHz | 2.6GHz | 3GHz | |
HTクロック | 2GHz | 2GHz | 2GHz | |
2次キャッシュ | 512KB×4 | 512KB×4 | 512KB×4 | |
3次キャッシュ | 6MB | 4MB | 6MB | |
TDP | 125W | 95W | 125W | |
対応メモリ | DDR2-1066 DDR3-1333 |
DDR2-1066 DDR3-1333 |
DDR2-1066 | |
店頭予想価格 | 2万8800円 | 1万7980円 | 2万4800円 |
これまでクアッドコアのPhenom II X4のハイエンドモデルとしては、動作クロック3GHzでSocket AM2対応のPhenom II X4 940 Black Editon(以下X4 940 BE)と、動作クロック2.6GHzでSocket AM3対応のPhenom II X4 810(以下X4 810)があったが、X4 810は、動作クロックが400MHz低いだけでなく、L3キャッシュ容量が4MBに削減されており、性能的にはX4 940 BEのほうが上であった。そのため、メモリパフォーマンスが高いSocket AM3環境のほうが、搭載できる最高CPUのスペックが低いという、ねじれ現象が生じていた。
今回登場したX4 955 BEは、動作クロック3.2GHzのSocket AM3対応版であり、これまでのPhenom IIシリーズの最高クロックであるX4 940 BEを上回る動作クロックを実現。Socket AM2環境とSocket AM3環境のねじれ現象を解消した、Phenom IIシリーズの最高峰となる製品だ。
ベンチマークテスト構成
それでは、Phenom IIシリーズの新たなフラッグシップとして登場したX4 955 BEの性能を、早速検証してみたい。テスト環境は以下に示したとおりで、Socket AM2+環境も用意し従来のフラッグシップであるX4 940 BEのデータと比較することにした。メモリクロックはDDR3が1333MHz、DDR2が800MHzであり、容量はDDR3が4GB、DDR2が2GBである。
テスト環境 | |
---|---|
CPU |
Phenom X4 II 955 Black Edition(3.2GHz) Phenom X4 II 940 Black Edition(3GHz) |
マザーボード | MSI「790FX-GD70」(AMD 790FX/DDR3)
MSI「DKA790GX Platinum」(AMD 790GX/DDR2) |
メモリー | DDR2 1333 2GB×2 DDR3 800 1GB×2 |
ビデオカード | ATI Radeon HD 4870(メモリ512MB) |
HDD | Western Digital「WDF10EADS」(1TB Serial ATA) |
OS | Windows Vista Home Premium SP1(32bit) |
グラフィックドライバ | ATI Catalyst 9.4 |
(次ページへ続く)
この連載の記事
-
第454回
デジタル
性能が最大50%引き上げられたSamsung製SSD「990 EVO Plus」は良コスパSSDの新星だ -
第453回
デジタル
性能も上がったが消費電力も増えた「Ryzen 7 9800X3D」最速レビュー、AI推論の処理速度は7800X3Dの約2倍! -
第452回
自作PC
Core Ultra 200Sシリーズのゲーム性能は?Core Ultra 5/7/9を10タイトルで徹底検証 -
第451回
自作PC
Core Ultra 9 285K/Core Ultra 7 265K/Core Ultra 5 245K速報レビュー!第14世代&Ryzen 9000との比較で実力を見る -
第450回
デジタル
AGESA 1.2.0.2でRyzen 9 9950Xのパフォーマンスは改善するか? -
第449回
デジタル
Ryzen 9000シリーズの性能にWindows 11の分岐予測改善コードはどう影響するか? -
第448回
デジタル
TDP 105W動作にするとRyzen 7 9700X/Ryzen 5 9600Xはどの程度化ける? レッドゾーン寸前を攻める絶妙な設定だが、ゲームでの効果は期待薄 -
第447回
デジタル
Zen 5とTDP増でゲーム性能は向上したか?「Ryzen 9 9950X」「Ryzen 9 9900X」の実力チェック -
第446回
デジタル
「Ryzen 9 9950X」「Ryzen 9 9900X」は“約束された”最強のCPUになれたのか? ベンチマークで見えた利点と欠点 -
第445回
デジタル
「Ryzen 7 9700X」「Ryzen 5 9600X」のゲーミング性能はゲームキングRyzen 7 7800X3Dに勝てる? -
第444回
sponsored
AI時代だからこそNVMe SSDで強化!! 新登場「WD BLUE SN5000」速攻レビュー - この連載の一覧へ