このページの本文へ

【INTERVIEW】ソニーの持ち味が生かせた『α100』――開発者に聞く(後編)

2006年10月27日 00時00分更新

文● 聞き手/撮影 小林伸

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷
[――] 新機能という点では、ほこり対策に関しても伺っておきたいと思います。
[関] ほこり対策に関しては“静電気が起きないコーティング”が肝になります。どのメーカーさんも同じだと思いますが、絶対にほこりが付かないということはありえません。しかし、コーティングがあるため、ブロアーなどを使用してほこりを飛ばす際にも非常にごみが良く取れます。評価段階での比較でもいい結果が出ており、そこを大きく強調したいところですね。
α100のほこり対策
α100のほこり対策
[――] コーティングの素材に関しては、各社工夫されているところのようですが。
[関] 液晶パネルなどでも使われている、導電性のある薄膜を使っています。“ITO膜”(インディウム・ティン・オキサイド膜)というものなんですが。アースすれば、静電気はたまりません。
[安原] これとは別に、ごみを付きにくくする表面コーティングも施していますね。
[――] ユーザーの関心としては、手ぶれ補正を利用して物理的にごみを落とすほうに関心がいきがちなんですが……。ちなみに、落ちたごみはどうなるんですか?
[関] 落ちたままです。これも本当によく聞かれるんですが、実際のところは、ミラーボックス内の一部にほこりを吸着させる場所を作ってもあまり意味がないことなんです。例えば、6畳の部屋の1箇所に粘着テープを置いたからといって、そこにうまくほこりが落ちてくれるものではないのです。ミラーボックスの中がごみだらけになるといった状態はまずあり得ず、基本的にほこりはほとんど存在しない状態です。仮に一度落としたごみが舞って、CCDの近くに再びきたとしても、コーティングの関係で付きにくくなっているというのは先ほど申し上げた通りです。
[――] 吸着シートがあったとして、落ちたごみが必ずそこにたどり着くという保証もないですしね。
[関] 軽いごみは下に落ちずに舞っている状態になります。どちらかというと吸着シートが“ある”ことでお客さんを安心させるというか、そういう意味合いが強いのではないでしょうか。
[安原] 設計段階では、ごみ取りシートを付けないといけないんじゃないかという議論も当然ありました。しかし、大きな効果が得られなかったというのもありますね。
ローパスフィルターのコーティング
α100のローパスフィルターに施されているコーティング
[――] ごみが出ない仕組みにした点を強調しているメーカーさんもありますが。
[関] それはもともとやっています。ことさらに強調するほどでもない、基本的な配慮ですね。
[――] CCDが通電しているからほこりを呼ぶという面もあるのではないでしょうか? CCDに電気を流さないと写真は撮れなくなるわけですが、このへんはやむを得ない部分なんでしょうか?
[関] 静電気は空気との摩擦で起きますから、基本的には導電性のあるものをアースしておくのが一番いいと考えています。
[安原] 開発段階では、CCDが通電している影響がどのぐらいあるかも検討しましたが、実際にはそれほど大きな影響はありませんでした。CCDに電気を通電しているから静電気が起きやすいということではないと思いますね。
[――] ごみ落とし専用のボタンはなく、ごみを落とすためにはメインスイッチをオンオフする必要があるわけですが。専用ボタンを設けようとは思いませんでしたか?
[関] それは検討しました。しかし、振動だけで100%ほこりを落とせるわけではないので、そういった誤解をお客さんに与えてはいけないと考えました。メインスイッチと連動させれば、意識せずに常時行なえますから。

カテゴリートップへ

注目ニュース

ASCII倶楽部

プレミアムPC試用レポート

ピックアップ

ASCII.jp RSS2.0 配信中

ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン