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『Adobe Creative Suite』はデザイナーを助けるか!? 米アドビ システムズ 上級副社長 ジム・ヒーガー氏に聞く

2003年12月16日 22時31分更新

文● 取材・文:千葉英寿

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『Adobe Illustrator CS 日本語版』
『Adobe Illustrator CS 日本語版』のパッケージ
[千葉] Version Cueに関してですが、対応するソフトウェアはアドビ製品だけなのでしょうか?
[ヒーガー氏] ACSの中であればインテグレーションを意識してデザインしていますから、それだけよりよい結果は期待できるわけですが、Version Cueは“Adobe Web Group Server”(紙面やウェブの制作について、グループを横断してデザインワークを行なうためのサーバーベースのアセットマネージメントツール)の第2世代でして、“WebDAV”互換となります。ですのでWebDAVに対応しているソフトウェアであれば使用できると思います。アドビはあくまでもスタンダードを信奉している会社ですので、他社を排除しようという気持ちは一切ありません。また、マルチベンダーを意識したサポートを行なっていかなければならないとも考えています。
[千葉] であるならば、Version Cueを単体で提供することはできないのでしょうか?
[ヒーガー氏] ノーです。たしかに理論的にはできると思います。実は以前にこの製品を単体で提供するというコンセプトがありました。しかし、よくよく議論したところ、ACSにきちんと統合することでより高いバリューを提供できるという結論に至ったわけです。
[千葉] 著作物を資産管理する、という点について日本人の感覚はまだ稀薄だと感じるのですが、どのような課題があるとお考えですか?


ジム・ヒーガー氏
[ヒーガー氏] IP(Intellectual Property、知的財産権)の価値について私なりに分析してみたのですが、いわゆる二分化が進んでいるのではないかと思います。ひとつはWalt Disneyの“Mickey Mouse”のような絶対守らなければならない、という感覚のものもあれば、もう一方で、どんどん再利用して自分たちの生産性を上げていこう、というトレンドが生まれているのではないかと考えます。Version Cueは知的所有権を守るという意味において重要な役割を果たすと考えています。Version Cueを活用することで資産を再利用することが容易になるため、非常に価値があるわけです。
[千葉] ACS製品以外に御社の製品にはデジタルビデオ関連製品のようにパソコンに対して強力なマシンパワーを必要とする製品があります。これらにはより高速なCPUを求めるユーザーの声があると同時に、次期Windowsの“Longhorn”のように64bit対応OSにおいてネイティブで動作するソフトウェアの必要性を説く声もあります。今後、御社製品は64bit OS対応を果たしていくのでしょうか?
[ヒーガー氏] アドビはこれまでさまざまな新しい技術に対して、どこにも先駆けて対応してきました。例えば、Mac OS Xに対して業界で初めて対応したといった実績に照らしてみても、この点はご理解いただけると思います。本日、具体的に公表できることはありませんが、今後ともテクノロジーリーダーとして新しい技術動向には十分対応したいと思いますし、また、対応していけると思います。
[千葉] 本日はありがとうございました。

いまやデザインフィー(デザインに掛けられるコスト)は日に日に下落していると言われる。これは日本経済が上向きになったとしてもすぐに反映され、改善されるものでもない。そうした厳しい現実にさらされているデザイナーにとって、ACSの機能は魅力的ではあれ、おいそれと手を出せるものではない。しかし、Version Cueのように生産性を向上させるツールを使用することで、ワークフローを改善し、コストダウンの一手段とすることも可能といえる。後は、日本のデザイナーがさらに納得できる施策をアドビが提示してくれることに期待するばかりだ。



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