最後に、前述の3カテゴリーには含まれないグッとパソコンユーザー寄りの展示の中から、特に注目すべき出展内容をブースごとにまとめて紹介しよう。
メモリースティック・パビリオン
Hall 1中央の“メモリースティック・パビリオン”では、ソニーをはじめとするメモリースティック対応製品/試作品を多数並べていたが、中でも異色なのがCEATEC JAPAN 2002の開幕前日(9月30日)に発表された(株)タカラの『M(ミュージック)チョロQ』関連の展示だ。MチョロQはそのユニークな本体形状やコンセプトもさることながら、チョロQサイズ(幅30×奥行き50mm)にメモリースティックDuoを収納できるスロットと、ATRAC3を再生(著作権保護機能としてマジックゲートを採用)機能を実装した小型基板を開発したことが一番の注目で、タカラとしてはこの基板をベースに、オイルライター(着火部分にメディアを差す)/ピンバッジ/犬型キーホルダー(口にメディアを差し、お尻にヘッドフォンをつなぐ)/ブレスレットなど、さまざまな製品展開を検討しており、いくつかのモックアップモデルも展示されていた。
オイルライタータイプの音楽プレーヤ | 犬のキーホルダータイプ | |
SDカードアソシエーション
松下電器産業の隣に設置されたSDカードアソシエーションのブースに並べられた、据え置き型のオーディオプレーヤー各種(価格、時期は未定)。ピラミッド型の上段にあるのが東芝製、下段の2機種は松下製。東芝のものは、SDカードスロットにDVDプレーヤーも備えている。Bluetoothロゴも入っており、無線でのデータ送受信にも対応。松下製の2製品はいずれも非常に奥行きが短くコンパクトな筐体。面白いのが右側の製品で、SDカードスロットを5基搭載したチェンジャーコンポ。大容量のSDメモリーカードを使うことで、CDチェンジャーよりもコンパクトでかつ多くの曲がかけられるジュークボックスとして利用できそうだ。そのほか、SDカードスロットを搭載したポータブル型情報端末も多数出展されていた。
実際に動作しているものは見られなかったが、今後登場予定というSDIOカードのモックアップには“TV”や“Communication”といった文字がプリントされており、「Buletoothカードぐらいしかモノもない」と言われがちなSDIOだが、セイコーインスツルメンツ(株)からはAirH”カードが登場を控えており、これらの参考出展も含めて、将来の製品展開に期待したい。
Panasonicロゴの入ったSDIOカード製品各種 |
そのSIIのAirH”SDカードに対応したPCカードアダプターを(株)アイ・オー・データ機器が準備中ということで、外観を見せてもらった。発売時期は「SIIの製品と同時程度」とのことなので、年内の発売が見込まれる。現状ではAirH”SDカード専用だが、次期製品ではSDメモリーカードに対応、その後、動作検証を重ねつつ、BluetoothやGPSなどの製品もサポートする予定とのことだ。
アイ・オー・データ機器のAirH”SDカード対応PCカードアダプター |
松下電器産業
(株)日立エルジーデータストレージが『GMA-4020B』のOEM向け発売を開始し、高い注目を集めているDVDマルチドライブ(DVD-RAM/-R/-RW/CD-R/RW/ROM対応ドライブ)だが、松下からも近日中に発表される予定とのことで、内蔵型および外付け型が参考出展されていた。
外付け&内蔵用の松下電器製DVD-Multiドライブ |
パイオニア
9月24日にDVD-R4倍速記録、DVD-RW2倍速記録の新しいDVD-RWドライブ『DVR-A05-J』を発表したばかりのパイオニアでは、12.7mm厚のスリムタイプDVD-RWドライブの展示を行なっていた。記録速度はDVD-R/-RWともに2倍速。
ノート内蔵用の薄型DVD-RWドライブ『DVR-K11RZ』 | DVR-K11RZの内部メカ(型番:CV-DTY101) |
三菱電機
ヘッドマウントディスプレー(HMD)で興味深い製品が三菱電機のブースに出展されていた。『ウェアラブルディスプレイ “SCOPO”』という名称で、SCOPOはイタリア語で“狙い”を意味する。“身に着けていても、画面を見ても目が疲れない”という従来のHMDが画質の追求に進んでいるのとは異なる設計思想で、実際かけてみたが、視点が前後しないためHMD画面と外の景色を同時に視界の中に捉えられ、まるで横目でTVを見ながら食事したり雑誌を広げるような感覚で使える。これは、従来のHMDが高精細化を追求するため、ある程度目に近い位置に映像をフォーカスさせていたのに対し、SCOPOではより遠方に合掌するよう調整していること、また人間が目で見た像を結ぶ眼底に像が合うよう転写レンズを調整した“低発散角光学系”を採用することにより0.1程度までならメガネなしでも映像が見えることも、本製品を気軽に身に着けられる要因になっている。液晶表示部の解像度は23万画素(800×238ドットのデルタ配列)で、細かい文字までは判読しづらいが、ちょっとしたTVのわき見にはもってこいの楽しいデバイスだ。
三菱電機の『ウェアラブルディスプレイ“SCOPO”』と、装着した三菱電機のお姉さん |
TDK
実機展示こそなかったものの、実験風景の映像がインパクト大だった“小型HDD用高耐衝撃サスペンション”。HDDのヘッドは、高速で回転するディスクの風圧でわずかに浮上し、この空間の空気が“空気膜”となって一種のバネとして働く。高耐衝撃性サスペンションでは、高度な浮上面設計技術により、この空気膜の剛性を高めて浮上を安定させている。さらに、外部から衝撃が加わった際にヘッド機構全体の振れが起きない設計になっており、この2点を合わせることで、従来のHDDの約5倍、1000Gを超える衝撃にも耐えるという。衝撃に非常に強く、しかも小型HDDに使用できる機構なので、カーナビやPDA、さらには携帯電話などにもHDDを搭載できるようになるとしている。2003年量産予定。
耐ショック性能が高い小型HDDの技術 |
アルプス電気
パソコンユーザーにはトラックパッドで馴染み深いアルプス電気(株)だが、現在全世界で販売されている“BMW 7シリーズ”に搭載されているカーナビのコントローラーも、実はアルプス電気製で『ハプティックコマンダ』という。これは、スティックとダイヤルとボタンを1つに集約したコントローラーで、メニューの内容と内部のモーター制御により、あるときは8方向移動、あるときはダイヤル、またあるときはボタンとして機能する。コントローラーに置いた手の位置を変えることなく、カーナビの全操作が行なえるのはかなり便利。ちなみに、プログラムによって各操作に負荷(フィードバック)をかけることも可能とのことだ。
スティック+ダイヤル+ボタンを集約したコントローラー『ハプティックコマンダ』 |
このほか、新しい入力デバイスの操作方法の基本動作の展示も行なっていた。操作方法は、“握る”“摘む”“傾ける”“撫でる”“押さえる”“振る”というごく単純な動作。例えば、携帯電話に内蔵して、端末を握ることで通話中の音量を調整したり、端末を振ることでメニューを切り替えたり、といったことが可能になる。“摘む”のコーナーで紹介されていたのは、首にかけられるサイズのポータブルオーディオプレーヤーに便利そうな“ボリューム調整とトラック操作ができるストラップ”。ストラップのヒモ内部にセンサーが超小型のセンサーが組み込まれており、その部分を指で摘んで動かすことで操作する。製品化や強度実験などはまだ進行中とのことだ。
人間的な指使いが新たなマンマシンインターフェースになる! |